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映画「ラストマイル」あんな犯人があんなテロ起こすかね?

なんかヒットしてるらしいけど「シェアード・ユニバース」というふれ込みがうさんくさくてどうかなと思うけど、ヒットしてるっていうから見とかなきゃなと公開翌週の水曜日に見に行った。そんな斜に構えた態度で見たから終始細かいとこが気になって。
以下いっぱいネタバレするので見てから読め。

そもそも、こんなに人を殺したりケガさせたりする大犯罪を30代の女性が一人で計画して実行できるものかね?そしてなぜ彼女はその成果を見届けずに死ぬの?
それができる女性だったとして、デイリーファーストに恨みがあるなら一般人を巻き込むようなやり方じゃなく、五十嵐だけを狙うとか、本国で騒ぎを起こすとかするんじゃないの?物語の根本的なところにのれなかった。言っちゃ悪いけど映画のための犯罪すぎる、みたいな。
主人公エリナのキャラクターもよくわからない。日本に来た時はお仕事復帰して頑張ろうと思ったんでしょう?だから本国の指示通り山崎の情報を削除した、と。株価気にしたり。前半では組織人であろうとした。後半は反逆児になったけど、なんで?何がきっかけ?
エリナが福岡から来たわけじゃないのが途中でわかった。そしたらめっちゃ怪しいじゃん!五十嵐は孔に「気をつけろ」とか言ってないで「すぐに警察にこっそり報告しろ」でしょう?それより何より、大事なセンター長が何者か、五十嵐が知らないって、デイリーファーストどんだけヌケた会社なんだよ。あんなに先進的なのに。
この映画がお仕事を描いてるのはよくわかった。仕事を懸命にする個人は尊い。一方で効率しか求めない会社は諸悪の根源だ。・・・いいんだけどねえ、働くことの尊さを訴えたいのは素晴らしい。でも会社は悪だってのもなんつうか古いリベラルな価値観に侵されてない?Amazonで働く人はけっこう楽しそうだよ。そしてそういうメッセージが言いたいのはいいんだけど、メッセージを言うためにストーリーが作られてる感じがしちゃうなあ、と。犯人像の心許なさもやっぱりメッセージのための犯人に思えちゃうからじゃね?
まあでも、最後にシングルマザー一家で爆発かのサスペンスに、家電メーカー辞めた男が、自分が作った洗濯機で助かるのは、うまい伏線回収で、「虎に翼」の航一さんみたいに「なるほど」と思ったよ。・・・でも他の爆発の凄さから言って、洗濯機で防げるのはやっぱりどうなの?
僕は「MIU404」は見てなかったけど、「アンナチュラル」は欠かさず見て大好きだった。だからこの作り手さんたちのファンと言える。でもこの映画は、なんというか、映画作らなきゃいけないから作った、ように見えちゃった。作りたい、伝えたい、という衝動がにじまなかったというか。
最後に製作幹事にTBSと共にTBS SPARCLEが並んでクレジットされていて、そこは、ほほおと思った。テレビ局と子会社の制作会社が共同幹事って珍しい。でも持株会社なのに意味あるのかな?とも思ったけど。そしてうがった見方をすると、そっちが先だったのかな?スパークル幹事で映画作らせよう、が先にあったのかな?と邪推したりした。まあ、どうでもいいか。
それとこの文章、決して酷評したつもりはないからね。最初から斜に構えて見て、だから斜に構えた感想を書きました。関係者が目に留めたら気にしないでね。

追記
最初は「見終わるとなるほどとつぶやいていた」という岡田将生が朝ドラで演じる航一さんに引っかけた無難なタイトルにしてたんだけど、映画をあまりにみんながベタ褒めしてるので、批判的なタイトルに変えた。
みんなどうしてあの犯人に納得できてるのか不思議。重ねて書くけど、無差別殺人に繋がる爆弾を11も仕掛けて実際に幼い子を殺めかけた。そんなISぐらいしかやらないような犯罪を、いくら恋人を失ったからってやるかね?そこが、会社の非人間性を際立たせるための犯罪でしかなく、映画のリアリティを損なってしまっていると思う。
アパートを吹っ飛ばすような爆発をいくら「しっかり設計された洗濯機」だからって防げるはずがない、という点もあまりに大きなツッコミどころ、まるで伏線回収のために考えられた結末のように思えた。
日本の観客は、このチーム特に野木亜希子を信じすぎているので通用したけど、これでは世界市場では通用しないんじゃないか。「VIVANT」がそうだったように、TBSのドラマ作りにあるある種の甘さがここでも出てしまったように思うのですよね。
誰か言っておかないといけないと思って追記しておいた。

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