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映画「ソウルの春」現実には、正義が勝たない

1979年に韓国で実際に起こったクーデターの映画化。韓国でも真相が知られてなかった史実を初めて映画にして去年大ヒットしたそうだ。
実際に起こったこととして見るせいもあって、2時間20分緊張しっぱなしだった。歴史を学ぼうとかでなく、とにかく面白いのでオススメです!韓国映画はなかなかお客さん入らないけどけっこう入ってたなあ。

軍の一将校にすぎなかったチョン・ドゥグァン(どう見てものちに大統領になる全斗煥がモデル)が、味方につけた士官学校出身者グループと共にクーデターを引き起こす。意外に行き当たりばったりの杜撰な計画。これを敢然と阻止しようとする首都警備司令官イ・テシン。2人の戦いを描くのだけど、見る者はクーデターが成功すると知ってるわけですよ。
それでもハラハラするのは事態が二転三転しながら、ソウルに味方の軍隊を呼び寄せれば勝ち、ってことで説得したり機転をきかせたりの丁々発止が面白い。クーデターって軍事力で強引に制覇するんじゃなく、意外に知能戦。そして味方のはずの将校たちのぬるい判断で事態が悪化するのは会社と同じじゃね?
銃で渡り合う場面はあるものの砲弾の撃ち合いもなく、正規軍があっさり降参する。ただその時に矜持を守るかどうかで人間性が分かれる。チョン・ドゥグァンは絶対成功させるとある意味信念を貫き、イ・テシンは絶対に阻止するとの信念を捨てない。だが汚いこともしてクーデターをやり抜くチョン・ドゥグァン、まっすぐに戦って連行されるイ・テシン。その最後は悔しいったらない。正義が負けていいのか!だが正義が負けるのが現実なんだよ。
でも映画の後で調べたら、全斗煥は晩年クーデターのことで裁かれちゃんと罪人扱いされている。イ・テシンのモデルとなった張泰玩はその後、政治家になり惜しまれて亡くなったらしい。だから結局は正義が勝つのかも。
チョン・ドゥグァンが「成功すれば革命、失敗すれば反逆」と言う。だから彼は絶対成功させる意志を貫き、苦難が来ても諦めずに新たな策を考える。何かを為す人は善悪を超えてそういう人なのかもしれないと思った。

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