滅びの前のシャングリラ
1ヶ月後、地球に小惑星が衝突し人類は滅びる。
人生に絶望し終わりを求めていた主人公たちが荒廃して終わりゆく世界で、残り1ヶ月をどう生きていくのか___
凪良ゆうさんの作品は、本屋大賞を受賞した「流浪の月」を読んだことがあり、本作で2作目です。
めちゃくちゃよかったです。世界観に引き込まれてあっという間に読みました。
いつ終わりが来るかわからない。もしかしたら明日死ぬかもしれないし、50年後も生きているかもしれない。そんなふうに終わりを常に意識することって日々に忙殺されていたらほとんどないですよね。
この作品は生々しい人間の人間臭さとか、儚さ、みたいなものが詰まってます。
もう死んでもいい、と思っていたのに人類滅亡を前にして生きてみたいって思えるようになるなんてこんな皮肉な話ない。
この物語のメッセージ性は、いつ死ぬかわからないから毎日悔いのないように生きよう!みたいなありきたりの前向きなものではないと思います。
どう生きたって終わる時は終わるしそこに運命とか神の存在はない。
滅び行く世界で、成長して、幸せを見つけていく登場人物たちの姿がとても切ないです。