「仕事が好き」と「会社を良くしたい」はイコールじゃない
みなさんの周りにいませんか?こんな人
目の前の仕事には誇りを持っているし、自己成長を通じて、もっといい仕事をしたいと思っているが(ワークエンゲージメントが高い状態)、あくまでも自分のため。一方、組織を良くするような改善活動や、間に落ちたボールを拾うことは自分の仕事ではないし、無駄だと思っている(プロアクティブ行動がない)。
「それ私の仕事ですか?」が口癖。
仕事は頑張るけど、会社のことは知りません
さて、最近のクライアントワークの中で気がづいた学びを今日はまとめてみたいと思います。ずばり「ワークエンゲージメント」が高い人でも「プロアクティブ行動」には必ずしも繋がらない。ということです。
ワークエンゲージメントとは、仕事への熱意、没頭、活力のこと。
プロアクティブ行動とは、「個人が自分自身や環境に影響を及ぼすような先見的な行動であり,未来志向で変革志向の行動」のことで、上司に言われたことやルーティンを淡々とこなす以上の職場内での行動を指します。
分類するなら、3つのパターンに分けられそうです。
A:ワークエンゲージメントも低い
B :ワークエンゲージメントは高いが、プロアクティブ行動はしない
C :ワークエンゲージメントが高く、プロアクティブ行動も活発
一般的な会社だと
A:B:C = 3:6:1
痛んでる会社だと
A:B:C = 4:5.5:0.5
うまく行っている会社だと
A:B:C = 1:6:3
こんなイメージです。
多くの会社がCの人はごく一部で、この割合をどれだけあげられるかに苦心していますよね。そして最近どの会社もなやんでいる「人材不足」も、純粋なヘッドカウントの不足というよりも、C人材が不足していたり、A人材が多いことを指しているように感じます。
恵まれた環境にいたから、この当たり前に気が付かなかった
前職のfreeeという会社には、人材・組織開発のチームがあったけれど、みんなが組織づくりに当たり前に参加する空気感があったし、特に新卒でfreeeにはいった私にとって、仕事をすること=自分の役割の仕事をすること+プラスαで組織のことをやる、が当たり前に肌に馴染みすぎていました。
なので、アカデミックワードとしてのワークエンゲージメントと情緒的コミットメントとプロアクティブ行動と…は理解していましたが、それらは全部同時に高くなるモノだと経験上思い込んでしまっていて、どれが一部だけが高まるパターンが存在するのがということに、ちゃんと頭と体で理解するのに時間がかかってしまいました。 いいのかわるいのか。
プロアクティブ行動を高めるには?
さて、余談はこれくらいにして本題に戻ると、若年就業者の研究ではありますが、プロアクティブ行動に影響する先行要因を調査している研究がありました。以下が、プロアクティブ行動を高める要因です。
職場のコミュニケーションへの積極性
革新への積極性
職務的自律(自分で自分の仕事をコントロールできる)
他者からのフィードバックがある
タスクが自分の中で完結する
仕事の意義を感じられる
自己効力感が高く
集団主義である
時間展望(過去の自分があるから今の自分がある)がある。
組織がコントロールできる範囲でいえば、コミュニケーションと変革に積極的であるほど、メンバーも変革的になれる、ということです。
コミュニケーションの積極性とは、具体的には以下の尺度で表されています
私の職場では、お互いに自由にモノを言い合っている
私の職場では、メンバー同士が遠慮や気兼ねなく素直に話し合っている
私の職場では、お互いに相手の意見をよく聞いている
私の職場では、仕事上で気がついたことは素直に指摘し合っている
これらは、組織カルチャーと言い換えておくことができそうです。
つまりこんな感じ
ワークエンゲージメントとプロアクティブ行動は別物だととらえ、それぞれを高めるための働きかけや、環境づくりを同時並行で行なっていくことが、組織に期待されていることなんだなあ、と改めて考えたのでした。
先行要因となる要素にを一つ一つ制度や施策に落とし込み、環境としての当たり前度を高めていくことで、個人態度・個人行動を好ましい方向に持っていける。
と、簡単にいったけど、先行要因の全てが一つ一つ重いので、それが大変なんだけどね…!この図が、人と組織づくりに関係する人の中で共通言語化されることが、大前提大事になってくると感じました。
個人的発見
プロアクティブ行動に影響する個人因子として、集団主義というのがあって、私の新卒一年目のときの組織を良くする行動に我関せずだったのは、集団主義が極めて低かったからだと腹落ちしました。
たとえば、シャッフルランチの組み分けとか、私にかんけいないやろ!マネージャがやれや!!!雑用押し付けやがって!!!と完全に腹を立てていました。
今おもえば、チームに顔を売るためだったり、企画的な仕事から計画性を身につけて欲しいとか、意図を慮ることもできるのですが、当時のジャックナイフ秋山には無理でした。
当時の私にいいたい、一人でできることなんて限られているぞ!と。