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アクションラーニングによる次世代リーダー育成

こんにちは秋山です。
今日は論文読んでみたシリーズ。アクションラーニングについてです。

アクションラーニングによる次世代リーダー育成
———大嶋淳俊

近年、次世代リーダー育成のための研修として、アクションラーニングが取り入れられています。単なる知識インプット型の研修ではなく、視野を広げ、実践的スキルを身につけ、ネットワーキングを築くことが期待されています。

本論文は、30社のアクションラーニング研修を参考に分類しています。

アクションラーニングとは

アクションラーニング(以下、AL)の解釈は、暗黙派・科学派・経験派・批判的内省派の4つがある。ALの一般的定義は、「現実の問題を取り上げて、グループで解決策を立案・実施する。その過程で生じる実際の行動と内省を意通じて、個人・グループ・組織の学習能力を向上させるチーム学習法」とされます。

海外の事例では、米ボーイング社などの例が簡潔に示されていまずが、日本の事例は乏しいのが現状です。

本論文は、次世代リーダー育成プログラムを実施する29社に対して行った聞き取り調査をもとにまとめたものです。業種は、輸送用機器、電気機器、化学、食料品、卸売業、小売、金融・保険、製薬など。

  • L1「役員クラス」:新任役員が主な対象。

  • L2「執行役員/事業部長クラス」:事業部長で役員(執行役員)候補、または新任執行役員など。

  • L3「部長クラス」:部長(または次長)クラスで次の事業部長候補。

  • L4「課長クラス」:課長クラスで次の部長候補。

  • L5「係長クラス」:次の課長候補。便宜的に「係長クラス」と名付けているが、企業によっては課長代理、主任など実際の役職は様々。管理職に近い「非管理職クラス」ともいえる。


アクションラーニングの類型


事例

<タイプ X>
製造業 A 社のミドル層対象の AL の目的は、自らの問題意識から将来的な経営レベルの変革課題を抽出してチームで戦略をつくりこむことで、「課題形成力」 「リーダーシップ」「変革プロセス」を体験的に習得す ることである。

経営陣の思考を凌駕するような提案を することは困難ではあるが、ミドルの“一皮むける経 験”として重要だと考えている。 ミドル層以外にロワー層向けプログラムでも AL を 導入しているが、マネジメントの経験年数も浅く、経 営リテラシー学習の応用力強化の意図があり、提言に あまり具体性は求められない(タイプ W に相当)。

提言テーマは、各自で案を出してチームで討議を重ねて決定する。チームには本社機能の人材も含まれて いるが、提言内容のほとんどは各ビジネスカンパニー に関するものである。これらは、現場の課題に関連し た現実的なテーマと、新製品開発など新規性の強いテ ーマに大別できる。 経営陣からは「現在の仕事に即したテーマは仕事の延長線に過ぎないので」という意見がある一方で、「夢 のあるテーマは実際のビジネスとしてどう実現できる のか具体性を出すように」といった意見もある。


<タイプ Z>
製造業 B 社のトップ層対象の AL は、部門横断的に 編成された 5 人が 1 チームに分かれて、各チームが異 なる経営課題に取り組む。経営課題の内容は、ボード メンバーから意見を募り、運営事務局が経済社会の動 向を織り込んだ上で作成する。当初は受講生からテー マを提案させることも検討したが、ボードメンバーの 問題意識を受講者に伝えるという主旨もあり、トップ ダウンに近い形で実施している。

チームメンバーは全国に散らばっており、通常の業務に従事しながら、テレビ会議や自主的な集合で AL を行う。検討のための活動費用も与えられる。なお、 このプロセスを通して、これまで交流のなかったメン バー同士の交流と結束力が強まり、研修後の業務での シナジー効果も生まれている。 報告会において各チームが提言を行い、トップがコ メントを行う。報告会にはボードメンバーの殆どが参 加している。

提言内容には、チームメンバーが日常業 務を行いながら約 5 ヶ月間で作成するため玉石混交の感はあるが、実際に採用が検討されるものもある。そこで、トップが有望または更なる検討が必要と判断した提言内容については、部門横断的に編成した若手課 長クラスによる「AL 実践化チーム」が組成され、具 体的な処方箋の立案を行う。

このように同社の AL は、受講者チームが取り組ん だ結果を単に提案させて終わらせたり、トップがコメ ントを通じて指導するだけではない。この研修の場を 通じて、トップと次世代リーダーとが問題意識の認識 と解決の方向性への考え方の共有を行うとともに、新 しい視点での戦略の萌芽や具体化につながる側面を持 っており、いわば創発戦略を形成する場として活用さ れていることは興味深い。

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