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Music is Life! 新日フィルと堀井美香さんが教えてくれたこと。

 私、あの時かなり変な人だった。初めの音が鳴る前、オープニングムービーの段階で泣いてたのは1800人いる会場で私くらいだったのでは。馴染みの人が出てる訳でも、悲しいことがあった訳でもない。泣きすぎてマスクの中がちょっと臭い。涙ってにおうんだねぇ...

 これは8/12(月祝)に開催された「Hello!シネマミュージックin Summer」に参戦した互助会員による感想です。

 今の感想は「泣いてスッキリした」「堀井美香はすごい」「またオーケストラを観てみたい」」「生で体感しないと聴こえない音、得られない情報がある」。

 チケット完売に向けて精力的に発信活動される堀井美香さんの様子をX等々でお見かけし、「この日なら行けそう!しかもチケットが安い!そして3列目の真ん中ら辺が今なら1席だけ空いてるだと!!」取るしかないと叫びながらチケットを予約。グッジョブ自分。この夏1番の思い出と言っても差し支えない感動をもらいました。

 終演から2時間近く経つ今も体の中にオケの音が反響している。足元はジーンと震えている。

 ヴァイオリンは10人以上いると思えない一糸乱れぬシルクのような音。水族館の一番大きな水槽で泳ぐイワシの群れを思い出す。スイミーのように皆で1つの大魚を描く。淡い膜のように繊細な空気を纏わせる時もあれば、堂々たる主役を張るときもある。振り幅がえげつないのよ。ヴァイオリニストの1人である矢部絵理子さんは格闘技を観るのにハマってるとのこと。ナイス振り幅。

 弦楽器、打楽器、木管、金管。多種多様な滋味深い音を、馴染みの映画音楽で楽しめる贅沢な時間。
 
 不思議なのは、これは配信やCDで聴いたら聴こえない音がたくさんあるなと素人でも分かること。パソコンには物理的に書き込めない音がここにある今の音ってチューバなのか!とかを素人は観ないと感知できなかったりもする。眉毛まで使って演奏してることとか、来ないとわからないよね。

 普段私の頭にこびりつくのは、転職したはいいものの、思い描いてたような成果を出せず自信が持てない、仕事のこと。子育てもしてるから自分にかけられる時間は有限。休みの日も仕事を憂いて上手く休めない。
 そんな不良消化の心に、優しく強く、オケの音が斬り込んできた。いっぱいだったコップの水が溢れるようにとはよく言ったもんで、知らないうちに涙が溢れてくる。普段泣けない私は、本物を目の前にすると気持ちが緩んで泣けるのかもしれない。

 2曲目はとなりのトトロ。子供の頃に何度も繰り返してビデオを観た。一番よく観たアニメ。美香さんの朗読を交えて物語は進む。お母さんと暮らせない寂しさを語るシーンは涙なしでは観れない。私も子供と観たいな。DVDを買おうと決めた。

 堀井さんもとっても素敵だったな。オーケストラに目一杯スポットライトを当てながら、笑いもとりつつテンポよくしっかりと会を進めていく。スーパーエグゼキューション、カッコよかった〜!

 一連の楽曲を聴きながら、前世くらい遠い記憶の吹奏楽部時代の事を思い出しては合奏が好きだったことを思い出した。一途に音楽を続けていたらこのステージに立てたのだろうか?と勝手な妄想をしたり。
 美女と野獣やリトルマーメイドといった自分もやったことのある曲が演奏されると、今でも弾けそうな気がした。若い頃に繰り返しやってたことは何十年経っても忘れない。今は数日前の記憶も危うい。年と共に記憶量は反比例するから、若いうちに頑張りきったり喜ばしい記憶がたくさんあると生きる糧になりそう。部活、もっと本気で取り組めたら良かったなぁ。人数の関係でやりたい楽器を担当できないのにチームワークだから役目を果たさないといけない、という葛藤の中で、自分なりにバランスを取って気持ちを保っていた中学時代を思い返す。あの頃また別の道を選んでいたら、今は変わっていただろうか。なんて考えたりもするけど、過ぎたことを憂いても仕方ないことも知ってる。あの頃も今も、自分なりに頑張ってる。仲の良い友達になら絶対そう言える。いい加減、私は私を認めてあげたい。そうして良いんだろうな、と、自分をオバサンと称せる年になり、やっとそう思えた気がした。

 疲れた時、またオーケストラを聴きに来たい。泣いたり音に痺れたり、癒されたり興奮したりすると、いつもの自分を肯定したり明日への活力になることを、新日本フィルと堀井美香さんが教えてくれた。


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