花組芝居『泉鏡花の夜叉ケ池 素ネオかぶき』稽古場での公演をみたよ
芝居小屋のお気楽加減で歌舞伎をやる劇団です。役者は全員男性。1987年結成、わたしが子どものころですから、当然、古い話は知りません。お若い役者さんもいるので、少しずつ新陳代謝しているのでしょうか。
🎭12月29日(金) 13:00
花組芝居『泉鏡花生誕150年記念公演 泉鏡花の夜叉ケ池 素ネオかぶき』
二子玉川セーヌ・フルリ
稽古場が立派すぎて震える
会場についていきなりびっくり。二子玉川のショッピングモールやタワーマンションが立ち並ぶ目の前、素敵すぎる閑静な住宅街に、どどーん!
周囲がコンクリートの建物になっていく中、ここだけ近代の香りが漂っていてすごいですね。
まったりとしたムード
稽古場なのでみんなまったりとしています。役者さんが自分でエアコンを操作します。もふもふのパーカーをお召しのスタッフさんがスリッパで歩く姿も良い。とても癒されます。ほぼ家だね。
段差も境界もないフラットな祭り
会場は中央に小さな小さな台があるのみで、天井には盆踊りのようなちょうちん。ぐるりと並べたお客さんのイスのギリギリまで役者たちがきて暴れまわります。前列のお客さんはぐるぐると踊らされていました〜!
素で際立つ加納さんの所作
タイトルにある「素」とは「素踊り」の素です。かつらや化粧のない状態。身体や表情がよーく分かります。代表の加納さんの動きが何もかも美しくてうっとり。
2023年のNHK新春歌舞伎中継には、解説的な立ち位置でゲスト出演されていたと思います。加納さんの歌舞伎への豊富な知見に裏打ちされて、花組芝居が存在している!
飛び出す加納さん、空を舞うお手紙
夜叉ケ池の白雪さん(加納さん)がお空にお手紙を投げながら飛び出してくる場面の勢いにびっくり。このケレン味あふれる瞬間はまさに歌舞伎だなあ〜。歌舞伎の『土蜘』の糸のように、長い紙が美しくひらひらと広がっていきます。練習を重ねられたのでしょうか。足元には夜叉ケ池の眷属たちがぬらぬら、わちゃわちゃしています。そしてどんな激しい場面でも優雅な加納さん。瞼に焼きついたシーンでした。
泉鏡花を楽しく愉快に
泉鏡花の作品はお言葉がとても美しくてお耽美でたまらない世界です。一方で、変わりゆく近代のひずみを批判的にみる一面も持っているので、信仰のあり方や人々の分断もえぐり取ってきます。でも、そこは花組芝居。あくまで楽しく、お客さんをほくほくの気持ちで帰してくれます。
舞台に生息しているかわいい人々
一般的に劇団あるあるのひとつとして、ここでしか生きられない、輝けない!という佇まいの、独特の味わいをもつ可愛いおじさ…お兄さんたちの存在があると思います。まさに、それです。彼らの活躍なくしてこの楽しい芝居小屋の雰囲気は成り立ちません。
とにかく愛されている
ただ美しいだけではない加納さん、プラス、魅力的で可愛い役者のみなさん。長年のファンのみなさまがお弁当を差し入れしたくなるのも、めちゃくちゃ分かります。みにくるお客さんもとても優しい表情をした穏やかな方々ばかりです。(←これ大事)
年の瀬にほっこりぬくぬく気分でお家に帰りました。ありがとう🎵
おすしちゃん