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【洋書多読】Sadako and the Thousand Paper Cranes(261冊目)

Eleanor Coerrの名作児童書『Sadako and the Thousand Paper Cranes(サダコと千羽鶴)』を読了しました。

ちょうど本書を読了した翌日、日本の被爆団体がノーベル平和賞を受賞したとの報がメディアをにぎわせましたが『Sadako and the Thousand Paper Cranes』は、アメリカの広島への原爆投下によって被爆し、放射線による白血病にかかった少女、佐々木禎子の実話を基にした物語です。

禎子は、原爆投下から数年後、12歳の時に白血病を発症しました。入院中に、彼女は「千羽鶴を折ると願いが叶う」という日本の伝説を知り、自分の病気が治ることを願って折り鶴を作り始めます。

物語は、彼女の闘病生活とその過程での希望、そして彼女が抱いていた平和への思いを描いています。禎子は最終的に千羽の鶴を完成させることなく亡くなりますが、彼女の死後、家族や友人たちがその夢を引き継ぎ、残りの鶴を折りました。

禎子の物語は広く知られるようになり、平和の象徴となりました。広島平和記念公園には、彼女を称えるための像が建てられ、彼女が鶴を持っている姿が描かれています。彼女の折り鶴は、世界中の人々に戦争の悲惨さと平和の重要性を訴え続けています。


この本は、戦争による悲劇や無辜の子供たちがどのような影響を受けるかを教えてくれると同時に、逆境の中でも希望を持ち続けることの大切さを伝えています。読者に平和と癒しへの願いを喚起させる感動的な作品です。

児童向けのノンフィクション。読みやすくて英語学習者におすすめ

『Sadako and the Thousand Paper Cranes』の著者であるエレノア・コア(Eleanor Coerr, 1922–2010)は、カナダ生まれのアメリカ人作家で、主に児童文学の分野で活躍しました。本書は彼女の代表作です。

コアは幼い頃から本好きで、特にアジア文化に興味を持っていました。戦後、日本に訪問した経験から、日本の歴史や文化に深く関わるようになり、これが『サダコと千羽鶴』を書くきっかけとなりました。彼女は戦争の影響を受けた子供たちや、平和をテーマにした物語を多く執筆しました。

彼女の英語はとても読みやすく、英語を学ぶ全ての日本人の方におすすめした一作です。ストーリーがストーリーなだけに、苦手な人も多いかもしれないですが、それでもやっぱり本書が良質の洋書であり、全人類が掬すべき知見に溢れている事実には変わりがありません。

外国人の目で描写される日本。しかも日本語ではなく英語でそのことに触れられるという経験は、単に英語学習の枠を超えて、より深い異文化理解そのものを促してくれることでしょう。


というわけで『Sadako and the Thousand Paper Cranes』でした。

今関わらせていただいているプロジェクトの関係で、この佐々木禎子さんの物語や第二次世界大戦について、英語で情報を読み漁っています。

自分の興味関心のある分野の多読、基礎知識のある情報に関する英語の多読は大変パワフルな英語学習法になり得ますが、本書はそんな条件を十分に満たしてくれる一冊で、ものの数十分で読み終わってしましました。

やはりこのレベルの洋書の多読は本当に楽しいです。とはいえ決してわからない単語がないわけではありません。英検一級の僕にすら、です。

児童書をどこか低くみている英語学習者の皆さんにこそ手にとっていただき、英語を学ぶことの奥深さと豊かさを感じるきっかけにしていただければと願います。



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Ken Sugihara
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