【洋書多読】The Illustrated Mum (236冊目)
ジャクリーン・ウィルソンの『The Illustrated Mum』を読了しました。
ジャクリーン・ウィルソンといえば『Dustbin Baby』や『Lizzie Zipmouth』といった児童書で有名な、現代を代表するイギリスの有名な児童作家です。
しかしながら、個人的にはこれらの作品以上に、今回読了した『The Illustrated Mum』が気に入っています。
これまで236冊の英語洋書を多読してきましたが、物語はもちろん、英語の読みやすさや英語のかっこよさなど、全体的なクオリティを考えると、私的にはTOP10に入る作品だったと思っています。
例えば『Dustbin baby』のように、ジャクリーン・ウィルソンの作品は結構ハードなシチュエーションを背景に書かれることがあります。
今回の『The Illustrated Mum』も躁うつ病(アルコール依存症?)のシングルマザーのもとで生活する姉妹と母との愛憎を妹の視点から描いた作品です。テーマとしてはまぁまぁ重めです。
しかしながらそこは流石のジャクリーン・ウィルソン。精神疾患の描写のリアルさもさることながら、このタフな状況を子供の視点からここまでピュアに書ききれる作家は、世界広しといえどもそうはいないでしょう。
児童書でここまで深い精神世界を描ききった作品ということで言えばルイス・ローリーの『The Giver』なんかが思い当たります。あの作品も涙なくしては読めない、児童書の範疇を完全に超えた名作でした。
『The Illustrated Mum』の英語はとても読みやすく、かと言ってただ易しいだけのものでもありません。ネイティブの言い回しや表現が満載で、学校英語やTOEIC英語などを中心に学習してきた人にとっては読みにくさを感じることでしょう。慣れないイギリス英語がそこに拍車をかけてきます。
しかしながら、というかだからこそ一読の価値ありと思います。そして実際一度ページを開いてしまうと、そこから先の展開が気になってしまってついつい読み進めてしまう、そんな一冊です。英語自体の難しさはあまり気にならなくなってきます。
洋書多読では「辞書は引かない」ということがよく言われますが、本作に関しては、「辞書を引いている時間がもったいないと思われるくらい、先が気になって仕方がない」という印象でした。引こうという気にあまりならないんです。これは『Dustbin Baby』でも感じたことです。
もちろん文学作品なので好みや得手不得手はあると思いますが、個人的にはここまで「面白い!」と思いながら読み進めた英語のフィクションはそうそうなかったというのが正直な感想です。
難単語も散見されますし慣れないと読みにくさを感じるものの、比較的ストレートで凝った修辞的表現が少ない英文は、実用的な英語力を維持・向上させていくのにとてもいいレベル感だと思われます。
やさしすぎず、難しすぎず。物語、英語レベルなど、どの方向から眺めてみてもとても優れた一冊で、英語を学習しているすべての人に一読をおすすめしたい、そんな作品でした。
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