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N1分析の活用について

セラピストとマーケティングは似ている

どの仕事でもマーケティング思考は役立つ


N1分析は、どの仕事にも応用できる!
この本を読んで率直に感じた。


ここでは、
私が関わっていたリハビリテーション専門職を例に挙げる。

リハビリテーション専門職(以下リハ専門職)は、病気で身体に何らかの支障をきたした人に対して、運動機能の回復や、日常生活動作の改善を図る。

病院・高齢者施設、在宅、スポーツ現場、企業など活躍の場が多岐に渡る。


マーケティングの仕事と直接関係のない専門職でも、この本を読むと気づきが得られる。

N1分析とは

「N1分析」は、
名前のある実在する1人の顧客を徹底的に理解し、その顧客が価値を見出す便益独自性を見極め、具体的なプロダクトのアイデア、
訴求するための伝達方法としてのコミュニケーションのアイデアを洞察する帰納的アプローチ。

顧客自身も気づいていない、もしくは、言語化できない、潜在的なニーズ(インサイト)を洞察し、新しい価値を創造する分析です。

西口一希(2024)『ビジネスが変わるN1分析』日本実業出版社 5項


これはリハ専門職にも、とても当てはまる部分がある。その共通点は3つ、

①1人の人を徹底的に理解する
②潜在的なニーズを洞察
③新しい価値を創造する


①1人の人を徹底的に理解する

リハ専門職は、学生時代に、
以下のプロセスで患者さんのアプローチ方法を学ぶ。

<評価の流れ>
1)評価
 └情報収集
  (問診記録、検査値、レントゲンなど)
 └問診
 └検査、測定
 └動作観察
2)考察
 └評価の統合と解釈
 └課題抽出
3)目標設定
4)治療プログラムの立案

ざっくりだがこのような流れだ。
そして治療の鍵を握るのが、
患者さん1人の背景を知ることだ。

医学的な評価も大切であるが、
リハビリテーションにおいては、
患者さんの人生(これまでの生活、家族、仕事歴等)、その人を日常会話から、とことん深堀していくのが、治療の近道になると長年の経験から感じる。


②潜在的なニーズ

とことん深堀したあとに、
今後、どうしていきたいのかの潜在的なニーズを探す。

高齢者の例だと、

・住み慣れている家で過ごしたい
・帰省する家族と家で会いたい
・孫にお年玉を渡したい
・ご主人と旅行に行きたい

などニーズは多岐に渡る。
そのニーズを引き出せるかが重要だ。


③新しい価値を創造する

これまで私たちの生活を支えてきた有名なプロダクトは、はじめは「誰か特定の1人」を喜ばせるため、あるいは便益になってもらうためのニッチからスタートします。

自分が欲しいからつくった
自分が必要だと思うからつくった
というエピソードは、製品開発の舞台裏を描いた記事などでもよく見られるように、すべての成功しているプロダクトは必ず1人のニッチからスタートしています

西口一希(2024)『ビジネスが変わるN1分析』日本実業出版社 49項


新しい価値を創造するために、
まずは自分の立場に置き換えてみることだ。

もし私が足を骨折をして、
リハビリをしている立場に立ったとしたら、

家で段差のあるお風呂に1人で入りたい。
しかし足が挙がらないから、1人では入れない。

でも、もし、ここに手すりがあれば、
踏み台があれば、
1人で、またいで浴槽に入れるかもしれない。
よし練習しよう!
というアイデアが浮かび、行動につながるかもしれない。

つまり、自分が相手の立場に立って欲しいから、必要だから、
自然な治療の流れになっていくのである。

「N1インタビュー」からお客様が感じている便益と独自性を見出すためには、「お客様自身が気づいていない潜在的なニーズ(インサイト)」を洞察する必要があります。

インサイトは行動を左右している、人間の欲望、矛盾、嫉妬、憧れ、不満などといった深層心理そのものだからです。
本人も意識していない心理が行動に影響を与えているのです。

西口一希(2024)『ビジネスが変わるN1分析』日本実業出版社 276項


一言で例えるなら、

本書にもあるが
「インサイトを制するものがマーケティングを制す」

リハ専門職に置き換えると
「インサイトを制するものが患者様の未来を創造する」


最後に

2割の成功8割の失敗

マーケティングに百発百中はありません。
これまで常勝という人は私の知る限り、1人もいません。

著者の中でうまくいかなかった事例は約8割、うまくいった事例は2割程度です。

この2割の成功の売上や利益の貢献が非常に大きいため、8割の失敗の損失を大きくカバーしているのです。

西口一希(2024)『ビジネスが変わるN1分析』日本実業出版社 298-299項


これはリハビリの現場でも同じである。
本当に突き詰めて考えて、
うまくいった患者さん2割の方の経験が、
8割の方に還元されている。

医療事故という失敗はもちろん許されないが、
リスクを予想して挑戦した失敗は
8割を超えるかもしれない。

しかし、失敗を恐れて挑戦しなければ、
新しい治療のアイデアや、
患者さんの身体の可能性を引き出せることはまずありえない。

N1分析と、
これまでの経験が結びついたので、
非常に有意義な読書の時間であった。

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