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N1分析の活用について
セラピストとマーケティングは似ている
どの仕事でもマーケティング思考は役立つ
N1分析は、どの仕事にも応用できる!
この本を読んで率直に感じた。
ここでは、
私が関わっていたリハビリテーション専門職を例に挙げる。
リハビリテーション専門職(以下リハ専門職)は、病気で身体に何らかの支障をきたした人に対して、運動機能の回復や、日常生活動作の改善を図る。
病院・高齢者施設、在宅、スポーツ現場、企業など活躍の場が多岐に渡る。
マーケティングの仕事と直接関係のない専門職でも、この本を読むと気づきが得られる。
N1分析とは
「N1分析」は、
名前のある実在する1人の顧客を徹底的に理解し、その顧客が価値を見出す便益と独自性を見極め、具体的なプロダクトのアイデア、
訴求するための伝達方法としてのコミュニケーションのアイデアを洞察する帰納的アプローチ。
顧客自身も気づいていない、もしくは、言語化できない、潜在的なニーズ(インサイト)を洞察し、新しい価値を創造する分析です。
これはリハ専門職にも、とても当てはまる部分がある。その共通点は3つ、
①1人の人を徹底的に理解する
②潜在的なニーズを洞察
③新しい価値を創造する
①1人の人を徹底的に理解する
リハ専門職は、学生時代に、
以下のプロセスで患者さんのアプローチ方法を学ぶ。
<評価の流れ>
1)評価
└情報収集
(問診記録、検査値、レントゲンなど)
└問診
└検査、測定
└動作観察
2)考察
└評価の統合と解釈
└課題抽出
3)目標設定
4)治療プログラムの立案
ざっくりだがこのような流れだ。
そして治療の鍵を握るのが、
患者さん1人の背景を知ることだ。
医学的な評価も大切であるが、
リハビリテーションにおいては、
患者さんの人生(これまでの生活、家族、仕事歴等)、その人を日常会話から、とことん深堀していくのが、治療の近道になると長年の経験から感じる。
②潜在的なニーズ
とことん深堀したあとに、
今後、どうしていきたいのかの潜在的なニーズを探す。
高齢者の例だと、
・住み慣れている家で過ごしたい
・帰省する家族と家で会いたい
・孫にお年玉を渡したい
・ご主人と旅行に行きたい
などニーズは多岐に渡る。
そのニーズを引き出せるかが重要だ。
③新しい価値を創造する
これまで私たちの生活を支えてきた有名なプロダクトは、はじめは「誰か特定の1人」を喜ばせるため、あるいは便益になってもらうためのニッチからスタートします。
「自分が欲しいからつくった」
「自分が必要だと思うからつくった」
というエピソードは、製品開発の舞台裏を描いた記事などでもよく見られるように、すべての成功しているプロダクトは必ず1人のニッチからスタートしています。
新しい価値を創造するために、
まずは自分の立場に置き換えてみることだ。
もし私が足を骨折をして、
リハビリをしている立場に立ったとしたら、
家で段差のあるお風呂に1人で入りたい。
しかし足が挙がらないから、1人では入れない。
でも、もし、ここに手すりがあれば、
踏み台があれば、
1人で、またいで浴槽に入れるかもしれない。
よし練習しよう!
というアイデアが浮かび、行動につながるかもしれない。
つまり、自分が相手の立場に立って欲しいから、必要だから、
自然な治療の流れになっていくのである。
「N1インタビュー」からお客様が感じている便益と独自性を見出すためには、「お客様自身が気づいていない潜在的なニーズ(インサイト)」を洞察する必要があります。
インサイトは行動を左右している、人間の欲望、矛盾、嫉妬、憧れ、不満などといった深層心理そのものだからです。
本人も意識していない心理が行動に影響を与えているのです。
一言で例えるなら、
本書にもあるが
「インサイトを制するものがマーケティングを制す」
リハ専門職に置き換えると
「インサイトを制するものが患者様の未来を創造する」
最後に
2割の成功と8割の失敗
マーケティングに百発百中はありません。
これまで常勝という人は私の知る限り、1人もいません。
著者の中でうまくいかなかった事例は約8割、うまくいった事例は2割程度です。
この2割の成功の売上や利益の貢献が非常に大きいため、8割の失敗の損失を大きくカバーしているのです。
これはリハビリの現場でも同じである。
本当に突き詰めて考えて、
うまくいった患者さん2割の方の経験が、
8割の方に還元されている。
医療事故という失敗はもちろん許されないが、
リスクを予想して挑戦した失敗は
8割を超えるかもしれない。
しかし、失敗を恐れて挑戦しなければ、
新しい治療のアイデアや、
患者さんの身体の可能性を引き出せることはまずありえない。
N1分析と、
これまでの経験が結びついたので、
非常に有意義な読書の時間であった。