陸自 NHK敷地で軍事訓練計画長崎・佐世保 使用許可は取り消し〜すべてがNになる〜

2024年10月14日【2面】

災害対策名目に申請

 陸上自衛隊が9月初旬、日米共同統合実動演習「キーン・ソード25」(10月下旬)の一環で、長崎県佐世保市のNHKの敷地を使った訓練を計画し、NHK側が後日、使用許可を取り消していたことが分かりました。NHK長崎放送局によると、陸自は当初、「災害対策の訓練」を名目に施設の使用申請をしており、日米共同訓練の一環と説明していませんでした。専門家は「キーン・ソードは明らかな軍事訓練で、災害と偽って要請していたとすれば問題だ。法的根拠も欠いており乱暴なやり方だ」と批判しました。
 防衛省が日本共産党の山添拓参院議員に9月末に提出した資料によると、NHKの佐世保支局で「基地等警備訓練および通信訓練」を実施すると明記。陸自西部方面隊第4師団の第4通信大隊から約10人が参加します。
 これを受け、本紙がNHKに問い合わせたところ担当者は10月7日、「災害対策を目的とした訓練で、敷地の電波送信所の(使用)申請を受けていたが、(キーン・ソードとは)全く知らなかった。防衛省に確認し、災害の訓練と日米共同演習の明確な区分が困難と判断し、許可を取り消した」と回答しました。
 陸自西部方面隊は本紙の取材に「当初、NHK佐世保での訓練を計画していたが、調整等の結果、訓練実施を取りやめた」と認めました。一方で、当初「災害対策」と申請しながら「基地等警備訓練」を計画した理由については「相手との関係もあり回答は困難だ」と述べるにとどめました。
 自衛隊がNHKの敷地を使った災害対策目的の訓練は「数年前からあった」(NHK長崎放送局担当者)といいます。

法的根拠欠き乱暴

 須藤春夫・法政大名誉教授の話 NHKは国民保護法で「指定公共機関」と位置付けられ、有事の際に警報、避難指示などを放送する責務を負っているが、同法の下でNHKに指示するのは総務大臣であり、自衛隊からの協力要請は法的な根拠を欠いている。南西諸島で軍事強化が行われる中、『台湾有事』のような事態で報道体制をどうするかという問題意識があるのかもしれない。軍事目的のために放送の独立性を無視してもよいとする考えが自衛隊にあるのであれば、大きな問題だ。


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