主張 教育のつどい子どもに寄り添う実践を広げ〜すべてがNになる〜
2023年8月17日【2面】
「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会」(実行委員会主催)が18~20日、東京都内で開かれます。「教員不足」の深刻化や不登校の増大にみられるように、自民・公明政権による競争主義的・新自由主義的な「教育改革」や、学校と教員、子どもに対する管理の強化などが、矛盾を深め、破綻があらわになるなかでの開催です。
困難の中必死にかかわり
「つどい」では全国の教職員をはじめ保護者、市民らが300本近い現場からのリポートを持ち寄り、語り合います。多くのリポートから、困難な中でも子どもたちに寄り添い、その人間的な成長に信頼を置いて、必死にかかわりあう姿が浮かんできます。
ある中学校の教員は、荒れた生活を送る生徒との日々をつづっています。同級生とトラブルになったその生徒の話を丁寧に聞いて気持ちをくみ取りました。進学をあきらめかけていたその生徒に定時制高校のことを話すと興味を示しました。一緒に説明会に行くと、生徒は授業や行事のことをたくさん質問し、「ここに行きたい」と決意して合格しました。
ある小学校の教員は、前年度荒れていた学級を担任した経験をリポートしています。荒れの中心にいた子は教室を移動する際、時々いなくなります。他の子たちは「いつものこと」と関心を持っていませんでした。教員は、「先生は『いなくて当たり前』みたいな感じが寂しい。そういうのを見過ごさないのも優しさだと思う」と問いかけました。それを聞いて、ある子が「おれ、呼んでくる」と走り出しました。その後も、その子がいなくなると誰かが呼びにいくようになりました。
日本の教育は、こうした教職員の努力で支えられているのではないでしょうか。だからこそ、教員の長時間過密労働の解決、上意下達の教育行政をやめて教員の自主性を保障することが急務になっています。
分科会では他にも、各教科の教育実践、生徒会が主体になって校則見直しに取り組んだ経験、部活動の問題、ハラスメント問題など現場からのさまざまな報告があります。小中学校で不登校だった高校生のリポートもあります。不登校の子への学校の対応に対する疑問も率直に述べています。
ロシアのウクライナ侵略が子どもたちにも衝撃を与えている中で、戦争と平和や憲法についてどう学び合うのかも議論になります。ジェンダー平等や個人の尊厳、多様性の尊重は教育の場にとっても重要な課題です。
「つどい」の初日に行われる「教育フォーラム」では教育のデジタル化の問題や、各地で進む学校の統廃合問題についても議論される予定です。
語り合いの花を開かせて
「つどい」はこの3年、コロナ禍によって対面での議論が制約されてきました。今回は4年ぶりに、開会全体集会を含め全面的にリアル参加が可能になりました。直接顔を合わせて、悩みや苦労も出し合いながら語り合う花が、たくさん開き、広がる場になることでしょう。
多くの人の参加による交流・対話を力にして、子どもと教育の未来を切り開く取り組みをいっそう広げましょう。
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