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納得したいと思う

遅くなってしまったが
夏のお便りを出そうと
郵便局まで葉書を買いに行った。

夕方過ぎに出発して、
小さい郵便局だと
既に閉まっている時間帯だったため、
少し距離が出るが
地域一帯のの中心となる
大きな郵便局まで足を伸ばした。

この郵便局には
大きめの駐車場が併設されている。
私は自転車で移動しながら
郵便局の建物へ近づいていくと
ちょうど大きなバンが
駐車場から出てくるところが
遠目で確認できた。

駐車場から出るには
歩道を横切らなければならない。
交通量の多い通りに面しているために
なかなか進むことができず
道を塞ぐようにバンは停まってしまった。
それでも歩道は十分な広さがあるため
歩行者の邪魔になるというほどではない。

しかし前に進めずに停まるバンに
全くスピードを緩めず
近寄っていく女性の姿が見えた。
迂回すればいいだけなのだが
バンなどものともせずに進んでいく女性。
もう少しでぶつかるという距離感で
バンがほんの少しだけ前に進んで停まった。

瞬間女性は何かに気づいたのか
または少し車体に触れてしまったのか、
そして目の前に何かあると
初めて気づいたかのような反応を示して
バンを迂回し始めた。

ずっと見守っていた私は
そこでようやく気づくことができた。
女性は白杖を操って歩いていたのだ。

バンの運転手は気づいているのか
私の位置からはわからなかったが、
幸いにもバンはそのまま動かなかったから
女性はぐるりとバンの後方を回りながら
バンを避けることができた。

バンの車体と点字ブロックが
垂直になるようにバンが停まっており、
女性は点字ブロックに沿って
歩いていたがために
このような状況に陥ってしまったのだ。

バンの運転手に落ち度があるのか?
点字ブロックがそんな場所に
設置されているからいけないのか?

よくわからない。
全てはタイミングの問題で
だれが悪いとかではないように思える。
しかしこのやるせない気持ちを消化するために
問題点をはっきりさせることを望んでしまう。

——どうもすっきりしない

私がもっと近くにいたならば
女性に声をかけることができたが
そんな距離でもなかった。
ことが済み、全てがラッキーで終えられたことに
よかったと胸を撫で下ろすことしかできない。

その後、動じず胸を張り、
しっかりとした足取りで
前を向いてひとり歩くその女性からは
なんの不安も感じさせられなかった。
私が気にしすぎているだけなのかもしれない。
私は私にできること
見守ることができたとことで
今のところは納得したいと思う。

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大須絵里子
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