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当面健康で居続けたい中年勤務医が 赤ワインの健康効果について勉強してみた
40代半ばになり、かなり自分の健康が気になるようになってきた。
特に循環器内科医として生活習慣病患者に接していると、「人の振り見て我が振り直せ」とせねばなるまい。
それほど大酒家ではないのだけど、日頃のストレス解消目的に、以前はよくビールを飲んでいたが、最近はこれを減らし赤ワインにシフトしつつある。
循環器内科医として、抗動脈硬化作用に焦点をあてて、赤ワインに含まれるポリフェノールの効果を改めて勉強してみた。
一般的にポリフェノールという用語をよく耳にすると思うが、これは5000種以上の成分の総称である。食品にはアントシアニン(赤ワイン、ブルーベリーなど=視力回復)、カテキン(緑茶、紅茶=抗ウイルス、脂質低下、肥満予防)、カカオポリフェノール(ココア、チョコレート)、イソフラボン(豆類)、コーヒーポリフェノール(コーヒー=脂肪の消費)など、様々なポリフェノールが含まれている。ポリフェノール化合物の中で特に赤ワインによく含まれており最近注目されているのは「レスベラトール」である。
「適度なアルコール摂取は冠動脈疾患を20%減らす」という研究結果など、適度なアルコール飲料の摂取は心血管疾患リスクの減少に関連していることは比較的以前より知られており、数々の結果からこれはほぼ間違いないだろう。
さらに「フランス人は割と高レベルの食事性飽和脂肪摂取と喫煙にも関わらず冠動脈疾患による死亡率が低い」という“フレンチ・パラドックス”から、定期的に赤ワインを摂取することがその予防効果になっているのではないか、というのが赤ワインの動脈硬化予防作用が囁かれた最初とのこと。
ポリフェノール化合物が、抗酸化作用、抗炎症作用、その他の潜在的アテローム産生抑制効果を示すことは、試験管内や動物モデルで分かっている。しかし赤ワインのポリフェノール摂取を増加させると、その他を含めた一般的なアルコール含有量以上に付加的な心血管疾患予防効果があるかどうかは不明のようだ。
レスベラトロールについても、血小板凝集の抑制、血管拡張作用、炎症抑制効果など総じて心臓保護効果があることが試験管レベルでは分かっているが、実際のヒトの体でどれほどその力を発揮するか、についてはやや不明のようである。
その他「癌の発生抑制・治療」「長寿への直接的な効果」等についても研究中とのこと。
また今のところレスベラトロールの「ヒトへの有害性や悪影響」は知られていないようだが、こちらも研究としては不十分とのこと。
もちろん「適度な」摂取が望ましく、通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度とのこと(人種差、男女差、個人差が結構ある)。
これは「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チューハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当する。
どうやら現状において、
・ポリフェノールの健康への好影響(動脈硬化・癌の予防)はありそうだが、確証はない。
・逆に害はなさそうである(これも確証はないが)。
・様々なポリフェノールがあり、それぞれ少しずつ効果が異なるので、バランスよく摂取した方がよい(特にアルコール過剰摂取には注意)。
以上、参考文献とともにまとめて見たので、興味のある方は各サイトを読んでみてくださいね。