パラレルワークと子育て期間の心のブレーキの外し方〜『成長マインドセット 』を読んで
この1、2年、どこか自分にブレーキがかかっているなあという感覚を持っていたのだけど、『成長マインドセット 〜心のブレーキの外し方〜』を読んだらこの2つのブレーキが外れる感覚を持てたので、ここに記しておきたい。
※タイトルに成長!とあるのでマッチョな印象を受けるが、内容は副題の「心のブレーキの外し方」についてストーリー仕立てなので、優しい気持ちで読めると思う。
成長マインドセットとは
著者は、スタートアップへの投資やアドバイザー、顧問をされている吉田行宏さん。支援先としてご一緒させていただいているタビナカの今野さんがオススメしていたのがきっかけで手に取りました。
2年半ほど前に、株式会社タビナカにい続けるか、自分で会社を運営するのかで悩んだ時期がありました。会社が掲げる「企業価値1000億円」という目標に共感できず、「お金の何がそんなに大事なんだろう」と心の中で反発していたんです。「自分は今の会社の創業者じゃないから本気になれないのかな」とモヤモヤしていました。
この後、今野さんはCOOとして圧倒的な成長を遂げることになる。このモヤモヤを僕も経験したことがあって、まさにという内容だった。
僕が抱えていたブレーキ
これまで僕自身が成長を実感したり、プロダクトや事業が成長できた瞬間には共通する点があった。一つのことに没頭し、100%以上の力で事業を推し進めていたときだ。アプリが100万DLを突破したり、企画した商品が企業に受け入れられたり、価値の表出である売上が好調に推移したり。
作業をしているときも、移動中も、釣りをしているときも、どこにいるときも、そのサービスのことしか考えられないほど没頭している状態のときは、どんな小さなひらめきでも逃さずに掴み取ることができていたように思う。
ただ、この数年、パラレルワークが無数にパラレルしてきたのと、子供が生まれたことで、仕事間のバランス、家庭とのバランスがコントロールできず、アクセルを踏み切れていなかったように思う。結果的に、目覚ましい成果を出すことができなかった。しかし、それは時間というもののみならず、マインドセットの問題であることに気付かされた。
1.パラレルワークのマインドセット問題
2008年に株式会社ハロを3人で共同創業して以来、この会社こそが自分の場所だと思ってやってきた。3年の広告代理店としての下積みを経て、韓国からのローカライズしたアドラッテやboketeのアプリ版、カオコレなど、スマホアプリ事業がようやく花開き、合計1,000万DLに到達しようかというときまでは。
このとき、ハロのCOOと平行してプレイ株式会社を創業した。同時にboketeを運営する株式会社オモロキにもCSOとしてジョイン。また2015年には株式会社狩猟社に参画し、メディア事業、動画事業に取り組んだ。
売れているミュージシャンが、バンドの他にソロ活動をしたり、気の合うアーティストとコラボするみたいなもんだと思っていた。とにかく今やりたいことすべてをやろうとしたが、うまく行く事業と困難な環境が混在する中、うまく行っている事業にどうしてもマインドが寄って行ってしまった。能力不足、マインドセット不足、とにかく反省。
2.子育て期間の時間の使い方問題
一人目が生まれたときは、仕事ばかりで子供のこと、家のことを全くといっていいほどしなかった。当時、韓国のアプリをローカライズし、それが日本でヒットしたので、日本と韓国の往復をしつつ、アタマの中はそのサービスがある未来のことで一杯だった。子供の世話を全くというほどすることがなかったため、なかなか懐かなかったし、妻にも大きな負担を掛けてしまった。
その反省から、二人目が生まれる際は子供と向き合うことに決めた。実際に小さいこども二人と向き合ってみると、一人のときの大変さが2倍になるというよりは、コンボでそれ以上の無理ゲーが発生しやすいということを学んだ。平日もできる限り家にいたり、土日もライフワークの釣り以外はなるべく家族と過ごすようにしたら、子供との関係性、家族との関係性は良くなったと思う。
しかし、家庭での時間とマインドが充実する一方で、仕事にアクセルを踏み切れていないストレスを感じるようになった。以前は、平日はほぼ仕事関連のことに時間を使い、土日もどちらかは開発したり新しいことを企画したりしていたので、当時と比べると「できることはがむしゃらにすべてやる」感を得られていなかった。
成長マインドセットの答え
この2つの悩みに対する言葉をいくつか紹介したい。たくさんの気づきがあったが、僕の中で変化があったのはこの2つ。
1.アクセルとブレーキを同時に踏まない。
たとえば、どこかの組織に所属しているときに、「あの会社に転職したら」とか「自分で起業したら」などと思うことがあるかもしれない。その状態は、今の環境での活動にブレーキを踏む行為である。僕にすれば、複数の選択肢がある中、今の事業にコミットしないことがブレーキになり得ていた。
でも、ブレーキを踏んだところでなにもいいことはない。
最低でも期限を決めて、ブレーキがかからない状態を作り出すことで、気持ちよくアクセルだけを踏める。すると、結果がでやすくなり、自分が成長できる。どうせやるなら、100%でやったほうがいい。「どんなに頑張ったところで損をすることはない」というのは素晴らしいと思う。
2.すべてを100%のマインドセットでやる
どの事業に何%の力を入れるか、という質問をよくされるのだが、これまでは明確な解を持っておらず、その時に必要なことにリソースを割くので可変だ、と答えていた。しかし、吉田さんの場合は「50%+30%+20%」ではなくて、常に全部100%。僕よりも圧倒的に多い自分の会社、アドバイザーや顧問をしている会社25社すべてに100%という。そして、家庭にも100%とのこと。これには勇気づけられた。時間的なリソースは限られるものの、それはすべての人に同じ条件。しかし、マインドは100%でいられるから、100%なんだと。
吉田さんとお会いして
本を読んだ後、ご縁あって著者の吉田さんとお話する機会を頂いたのだが、「成長マインドセット」に出てくる喫茶店のマスターのような、不思議な優しさに包まれた方で一気にファンになってしまった。この考え方がインストールされていく企業が増えたら、心穏やかに、楽しく結果を出せる世の中になると思う。
本自体はビジネス書といえる内容だけど、ノウハウの羅列ではなくやさしいストーリーで伝えていく本なので、僕にとっては「心のブレーキの外し方 〜自分と会社を気持ちよく伸ばす成長マインドセット〜」ってタイトルの小説だと思ってこれから何度も読むことになると思う。
最近出た新刊の『全員経営者マインドセット』はスタートアップの経営者のみならず、企業にお勤めの方にもオススメ。成長マインドセットを組織に浸透させていく続編とも言える本。あと、最近Twitter始めたみたいです。(吉田さんのTwitterはこちら)
というわけで、まずは僕が関わっていることに100%のマインドでできることをやっていこうと思います。
素敵な本をありがとうございました。ではまた!
イセオサムのTwitterではnoteになる前の断片をつぶやいています。
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