スポンジみたいな人は成長がはやい。
起業にはいろんな側面がある。自由である反面、これまで居てくれた上司がいなくなる。つまり、これまで通りの「会社の先輩から教えてもらう」が通用しなくなる。人によっては、そこで成長が止まる起業家もいるように思う。
その時に強いな、と思うのはスポンジみたいな人。若い子のほうがその傾向はあるけど、年齢関係なく、いろんなアイデアを一回受け止めて、吸収して、吸い込んじゃうような人。
こちらは、スポンジみたいに柔らかかったすごいサバのサンドウィッチ。
たとえば、子供を見ていると、ラーニングの速さに驚かされる。言葉にしても、遊びにしても、タブレットなど電子機器の操作にしても。彼らがやっているのは、まず、人がやっているのを真似してみること。完成度は高くなくてもいいから、とにかく同じようにやってみる。そのなかで、自分が心地よいやり方を生み出していくみたいだ。きっと、僕も子供のころはそうだったんだろう。
自分のやり方がジャマをする
しかし、年を取るにつれて、「自分のやりかた」みたいなものができてくる。それをカッコイイと思ったり、それが自分の価値だと勘違いしたりする。特に、ある一定以上の成功体験を得たりすると、そこから離れられなくなる。別のやり方をすることで、それ以上の成功があったとしても。
僕は、新卒のときに、先輩から素直に学ぶことができていなかった。テレビ局で情報番組に配属されたんだけど、ドラマにしか興味がなかった僕は、全然吸収しようとしなかった。学生時代に映像をかじっていた事もあり、全然スタイリッシュじゃない朝番組のやり方が嫌だと思っていた。同じ映像を扱う仕事であり、同じ視聴者に番組を届けるのだから、学べることはいくらでもあったのに。1,000万人が見る番組がどのように作られているかを体験し、自分で作る大きなチャンスだったのに。その時は、全然わかっていなかった。
遠くの師匠
夏の特番で、尊敬する先輩演出家のADとしてちょっとだけ仕事をさせてもらったことがある。出演者の映像を集めたりする小間使いみたいなものだったけど、連絡の仕方、相談の仕方、カット割り、スタッフへの接し方などすべてを素直に吸収しようと思えた。それはバラエティ番組の作り方なんだけど、その人のやり方を学べば、ものづくりの全てが学べるような気がしたんだ。人間として、全てを学びたいと思えた体験だった。
先日みた日テレの特番『誰も知らない明石家さんま3時間特番!史上最大のさんま早押しトーク!!』が最高に面白かった。さんまさんも最高だけど、その演出家の、圧倒的に気持ちのいいテンポの番組作りに、また感動した。
スポンジのように
広告代理店に転職した時は、3年で全てを吸収し、起業するという目標を立てて時間を過ごした。一緒に仕事をする全ての人から、いいところ、悪いところを観察し、自分の仕事に取り入れる。本で読んだことも、一日一つやってみる。その企業の文化にも、合わせてみる。経営陣の思考もトレースしてみる。その結果、そこそこの結果を残して卒業することが出来たのでは、と思う。郷に入れば郷に従えだ。
30歳を超えてくると、自分より若い人も増えてくる。まだまだ先輩たちに学ばせてもらおうと思っているけど、起業すると上司はいなくなる。だからこそ、若い人達からも素直に学ぶことが、これからもっと大事になってくるんだな、って思う。いつまでも、スポンジのように。
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