第1回「情報の明確化」
オシンテックのメルマガから飛んできてくれた方こんにちは。そうでない方もこんにちは。クリティカルリーダーのダイキです!
毎日ふれているニュース記事、せっかくだったら、もっと深読みできるようにしてみませんか?そのコツをシリーズで紹介していきます
クリティカル・リーディングという言葉は日本語では「批判的に読む」と訳されます。この批判的という言葉に引きずられることなく「いろいろな視点からアプローチする」「前提を揺さぶってみる」といった意味で捉えてください。クリティカルにリードするというのは、文章の主張やその根拠を構造的に捉え、多角的な視点で検証しながら読むことです。
今回のコツと記事
まずはクリティカルリーディングの基本。”書かれていない情報は何か”に注目してみましょう。記事は「北京オリンピックの外交ボイコット」について。まずは一度読んでみましょう。
引用元:AFP BBニュース(2022/1/15)
※このシリーズに用いる引用は、著作権法第32条に認められる範囲内で行っております。
※外交ボイコットについて
通常オリンピックでは選手だけでなく政府関係者を開催地に派遣するのですが、それを送らないことで外交メッセージとすることです。2022年の北京オリンピックで米国が中国の人権問題批判として外交ボイコットを表明しました。
皆さんは読んでいてどんなところが気になりましたか? 書かれていない情報、なにか気づきましたか?
まず、ここに注目してみましょう。
この記事では、デンマークは中国の人権問題を指摘してはいるものの「外交ボイコット」という単語は使用していませんね。
人権問題を理由に政府関係者を派遣しないなら、外交ボイコットと呼べそうですが、ここではそう書いていません。
オランダは外交ボイコットではない、としつつも政府関係者は派遣せず、人権問題に対する懸念には言及しています。
情報の明確化とは
文章を読むときに注意を払いたいものの一つは、その語が何を指示しているのかということ。今回の記事は「外交ボイコット」が主題なので、その語が指し示していることを明確にしてみましょう。
①中国の人権侵害を懸念している
②政府関係者を北京オリンピックに送らない
この二つの要素についてみてみると、外交ボイコットとはっきり書いていないデンマークも、違うと言っているオランダも満たしています。つまり、AFP通信は、この記事を記載するにあたって、少なくとも当該国が「外交ボイコットである」と表明したものに限定して外交ボイコットであるとしていることが分かります。つまりこの記事ではAFPは取材した(あるいは取得した)事実のみを列挙するスタンスを取っていることが分かります。
どこまでが取材したままの情報なのか、どこからが書き手の解釈なのか。この線引きを行いながら読んでみると、輪郭がはっきりしていきます。「外交ボイコット」に関するニュースは多くの人の関心を集めやすいので、タイトルを強く煽っていたり、憶測で尾ひれを付けているものも散見されます。こうしたものも、情報の明確化を意識しながら読み比べをしてみると参考になるでしょう。
今回取り上げたニュースには「〇〇は××すべきだ」や「※※なら、△△と言えるだろう」というような主張にあたる箇所はありません。このような主張のない記事であっても、それを取り上げるにあたっての何らかのスタンスは必ず存在しています。こうした発信側の意図を読んでいくことと、情報の明確化はとても密接に関連しています。
次回予告
さあ今回のnoteいかがだったでしょうか?今回の記事は書かれていない情報は何か、という部分に注目し”外交ボイコット”という言葉を捉えてみました。次回からは、「文章の要素に注目する」というテーマで文章の「主張」に注目して記事を読んでいきます!お楽しみに!
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