見出し画像

まんがガタガタ道11 アシスタントを雇う側

プロの漫画家になったらアシスタントの嫌がる事はしない、とチーフだった経験も踏まえ、かなり気を使いながらも上手く立ち回れたと思います。逆に気を使いすぎたかも。腹減ったかー?コーヒー飲みたくねぇかー?何音楽聴きたいー?キャバクr、、、おっと(^◇^;)

またアシスタントだった時の良かった事も参考になり、泊まり込みの日給制(交通費はなし)、飯2食、お菓子食い放題、仕事中テレビ、アニメ見放題、1日の終わりにはビール飲み放題。あ、これは私が飲みたかったのでw 日給制とはいえ給料はそこそこ。でも時給計算したら安いくらいか。Nプロのアシスタントの時はせいぜい12時間程度の作業だったが、うちでは夕方6時から朝の9時までの15時間労働。まだ若かったので体力、気力はあったような。仕事日数はアシスタントは10日前後で、残りの20日間は休み。自由に原稿描いてなさいと。10日間の日給でも無駄遣いしなければ、そこそこ暮らせる金額。そして年2回のボーナス付き。(後に年一回になるけど)

あばれ花組の初期はアシスタント1名体制。この10日間の手伝いだけで十分なペースで仕事が回り、逆に人数を増やすと日数が減るのでアシスタントの給料が減るというデメリットも生じる。本当に仕事が早く画力のあるアシスタントHくんでした。しかし1年くらいで次のアシスタントと交代。彼もアシスタント時代の後輩でTくん。Nプロの後に美●しんぼの所でアシスタントしてたらしく背景はかなり独特。あそこって下描きは定規で、ペン入れはフリーハンドで背景描くのね。画力はあるがちょっと絵柄に癖があり、少年誌よりも青年誌風な感じ。性格は明るく、一緒に仕事してても楽しい奴だが、こいつが今回のガタガタ道の主人公。

Tくんは仕事中でもよくしゃべる奴で、手を動かせぇえ!!と一括しながら笑いあったもんだが、やはり1年目くらいで辞める事になる。理由は、、、だって俺の目を見て話してくれないんだもの、、っておい。仕事中に目を向けられるかあ!!!(^◇^;)それか??それが原因か??? い、いや、すまん。原稿から目が離せず、そんな思いをしてたとは知らなんだ。私も反省したが、やはり他のとこにも行きたいとの事で、次のアシスタントを探そうと思った矢先に、また最初のアシスタントHが戻ってきてくれた。このHとTも同じアシスタント時代の後輩で、少し一緒の時期があったと思う。無事平穏に交代を済ませ、頑張れよーと送り出したはずなのだが、この1年後くらいにとんでもない事になる。

仕事もペースを崩す事がなく、3ヶ月先行しての入稿。早すぎる!!早すぎるのだが私にはやりたい事があった。高校時代から描きたかった漫画を連載すると!!

画像1

アストロ球団に触発されて、メンバー個々の物語を描ききってから一人一人仲間になっていくようなサッカー漫画w 集英社のベアーズクラブという隔月の漫画雑誌で連載をゲットしました。もちろんあばれ花組と並行しての進行。3ヶ月の余裕の中で、原作なしの完全オリジナルな漫画の構想は、かなり大変でしたが、とにかくやりたかった作品なので楽しい!しかし余裕が徐々になくなりつつある頃、あの人から雇ってくれえええと電話が。 廊下の奥まで木目を入れまくって真っ黒にしてしまう先輩Sさん(^◇^;) い、いや、ちょうどいいタイミングですけど、この人扱いにくい、、、。先輩だし画力も申し分ないけど、たまにとんでもないミスもしでかす。

Sさん、ここ逆パースですけど、、、(^◇^;)

あ、本当だw、、、って何年アシやってるんすかあああ!!!深夜のコンビニ買い出し中に奇声を発するわ、花粉症で一晩でティッシュ一箱使いきるわ(それはまだいい)、それをアシスタントHくんに投げまくるわ、風邪をひいても、熱あるんだったら寝ててくださいー!と言っても大丈夫大丈夫と仕事して、結局全員に感染!(^◇^;)、、、、おい。

次第に私もSさん、おっさん、じいさん、ジジイ!!と呼び方も変わっていきましたが悪い人ではない。ただ扱いにくい。歳上の駄々っ子って、、、(^◇^;)

そんな中、Hくんの元にTくんから連絡があり、会ったらしいのだが、様子がおかしいとの事。どうも悪名高き宗教団体に入ってしまったような。その宗教団体は、自分の回りを取り囲まれて、一人一人から罵声や悪口を言われまくり、精神状態がおかしくなってきたとこに教祖が優しい導きの言葉をいただくような。(確かそんな感じ) 駅で待ち合わせて、ファミレスでも行こうという流れで、振り返ったらTくんがついてこない。じーーっと立ち止まったまま動かない。どうも教会の助言がないと動けない精神状態になっているような。おそらく立ち止まったまま行ってもいいのか?悪いのか?どうする??の問答をずーっと繰り返ししているような感じだったと。

そのTくんからウチにも電話があり、遊びに行きたいと。宗教団体に入ってたのはHくんから聞いていたので、Sさんが俺がビシッと言ってやんよ!と鼻息荒らしw

その頃はオートロックのマンションが仕事場でしたので、下からの呼び出しで入口を開け、入ってこいよー、と。

3分、、5分経っても来ない(^◇^;)。いい加減痺れを切らして下まで行ったら、オートロックの入口でぼーーっと立っているTくんを発見。何やってんだ??入口開いただろうに??と問うと、、入っていいのかわからなくて、、、と(^◇^;)

あ、、、これか。いやま、とにかく来い!と部屋まで連れて行き、久しぶりのNプロ同窓会のようなメンバーが勢ぞろい。しかしTくんの当時の明るさは全くなく、何を言っても、はぁ、、はぁ、、と気の抜けた返事しかない。Sさん、、ビシッと言ってやるんじゃなかったすか?いや、期待はしてなかったからいいけど、とにかくTくんは人が変わってしまった。そんな宗教団体やめろよ!と散々言っても、はぁ、、、と。

その後、彼からの連絡はなく、一度こちらからも電話してみたが不在のまま音信不通に。怖いね。人間をここまで変えてしまう宗教団体。もちろんTくんにも心の隙間があったのだろうけど、そこに付け込むだけでこんな気力皆無の人間にしてしまうのが、、。

私は大嫌いです。

Hくん、Tくん、Sさん、、、この3人全てがNプロの先輩後輩で、あばれ花組、SOKKOHは描きあげていきました。個性ありすぎのメンバーでしたが、Hくんもネタにはしなかったけど、かなりのくせ者w 人を使う難しさは分かってたけど、顔馴染みな分まだ楽だったかな。 

途中月刊ジャンプの漫画家の助っ人も来たり、アシスタント応募で入ってきたのもいたけど、やはり自分のアシスタント経験があったからこそ、なんとか大きなトラブルもなく乗り越えられたと思います。



いや、、あったか(^◇^;)

いいなと思ったら応援しよう!

押山 雄一
漫画家志望者に向けた厳しい言葉を投げつけまくる内容のコラムが多いですが、厳しいプロの世界だからこそ甘い言葉は言いません。よかったら是非サポートお願いします。

この記事が参加している募集