雨のLAをひとりで放浪した雑記。片手にトイカメラを握りしめて
2024年2月上旬、私はロサンゼルスへ行った。
現地の親戚の家に泊まらせてもらいながら(本当にありがとう!)、行きたいところへひとりふらりと訪れた。
■前日の話はこちら
今回書くのは2月7日、ロサンゼルスのダウンタウンへ行ったときの雑記で、ちょうど帰り際に寄ったグランドセントラルマーケットのバーで手帳に走り書きに肉付けをしたもの。Papershootというトイカメラで撮影した写真とともに、雨のLAを記録しようと思う。
9:30にはUberで外出。
10:00にダウンタウン(The broadという現代美術館の前)に到着し、時間があったためブラッドベリービルディングへ向かう。
一巡りし、予約しておいた11:00にThe broadへ。
案内の人・学芸員さんの英語が聞き取りやすい。バスキアが良かったなぁ。やはりロスで原画を見ると肉迫する何かがある。ネイティブの発音も聞けてよかった。
その後、雨の街を彷徨う。
雨は地上に、下へ下へ落ちてゆく。同じように人も落ちてゆくという訳だ。
メトロ(地下鉄駅)周辺で、本当の意味での「治安の悪さ」を見た。積極性のある浮浪者、日本のホームレスとは比較にならないほど、ロスの浮浪者はにおいがキツい。ラリってその場をくるくる回っているだけの人は、目の焦点が狂っている。あとこれはたぶんマリファナのにおい。すれ違ういろんな人から。行く先々で声を掛けられるが無視をする。わたしでも分かる、これは呂律の回っていない英語だ。傘で顔を隠して、足早に立ち去る。足元の水たまりを睨みながら。
ここには薬物や人種という、日本にいると縁遠い(ように私は感じている)要素がぐるぐると渦巻いている。絶望的な影が時折顔を見せる。ブラックボックスのように恐ろしい。これまでの旅でいちばん、虚しく、怖かった。
特にThe Last Bookstoreまでの道中が地獄で、天候も相まって暗澹たる思いになる。
The Last Bookstoreとは2フロアに渡って展開される巨大な古本屋(新刊やレコードもある)で、昨年ロスを旅した従妹がおすすめしてくれたスポットだ。
非常に興味深い施設で、飛行機の荷物制限がなければたくさん本を買って帰っていたはず。だが、終盤はアジア系の観光客が本をそっちのけに自撮りしまくっていたのに嫌気がさして、勘弁してくれよという気分にもなっていた。そんなに自分の顔が大切なのか……ここ本屋よ…。いろんな考えがあるのは十二分に承知しているが、ひとつ叫ばせてほしい。
「本は映えるものではなく読むもの」だよね!
そしてロサンゼルス現代美術館(MOCA)へ。良かった……良かった!!
今日の放浪で抱いた感情をすべて表現、言語化してくれた。ロスという土地があって、歴史があって、人々がいて、苦悶があって、苦肉の先に芸術という昇華があって。滲み出たアートの一滴は、決して「綺麗だね」とまとめられるものではない。変わらず雨脚がひどい街で、この日の私はそう解釈した。
ラストはグランドセントラルマーケットでお酒をば。
居抜きの巨大倉庫の中にいくつものおしゃれ飲食店が建ち並ぶような施設で、コーヒーやクラフトビール、アジア飯屋が所狭しと並ぶ。
寒くて言葉にも苦労する中、頑張れたので今日の私は花丸。ぼーっと酒を飲みながら、英語の雑談に囲まれてここが本当に異国なのだと知る。誰も何も知らないけれど、旅独特の多幸感があり、苦々しさがあり、鉛のような疲労感があった。
久しぶり、異国の旅。またやっと会えたね。