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変えることのできないものを受け入れるだけの平穏〜きみの色を観た〜

や〜、マジでここの所眠すぎて辛いんですが、無理して平日にレイトショーでみてよかった、と思いました
今回はTOHOシネマズ池袋でみたのですが、なぜか轟音しかやっておらず、まぁそんなこだわりもないし……と思いながら爆音でみたのですが、爆音よすぎた……

いつものようにきみの色、ネタバレありで書いていきます

まずタイトルに「色」が入ってる時点で気合い入ってんの分かってますが、色キレー……
主人公の柔らかな雰囲気とキリスト教の多彩な色彩が世界観を作り上げていてめちゃくちゃよかったです……!

トツ子、あんたきみちゃんに初めて会った瞬間恋に落ちとるやんけ……
きみちゃんにあって目で追う姿、どうみても恋……
しかし恋に気づかない!こんなに好きだろ明らかに!
トツ子がきみちゃんの居場所をみつけるまでも「猫についてったら……」みたいな感じでめちゃくちゃ運命っぽいし……
なのにトツ子の恋は全く描かれない!ルイくんと出会ってからも一貫して「きみちゃんもルイくんも綺麗な色」という控えめな表現!しかし確実にトツ子はきみちゃんが好きだろ!
永遠に心の平穏を祈ってるし……!めちゃくちゃに恋!
気づいてない、または同性愛だから学校の潜在的なアレで恋ではないと思っている、という感じなのかも……振り返って、あれは多分恋だった、と思うタイプの感情を持っていそうでいい……

しかしきみちゃんはきみちゃんでルイくんに恋しとる!途中で恋に落ちましたみたいな顔しとるがバンド組もうって声かけられた瞬間に恋に落ちとる!
声かけられるシーンで、トツ子にはしんどいストーリーになるのかと思ったらその後のストーリーできみちゃんの恋心をみたトツ子が「きれいな色」って喜んでんのみてなんて美しい心なんだ……トツ子は……になった
きみちゃんは自分が完璧でないことに対して悩み続けて、おばあちゃんに黙って高校辞めてるけどそこまでせんでも……!と思ってしまう、リアルを生きているので……

ルイくんは島育ち、しかもお母さん医者か、生きていくの大変そうだな……塾にいくために本土に出てそこで楽器集めたりバンドメンバーと出会ったり……親はめっちゃルイくんのこと信じてる感じがあるしルイくんも勘ぐりすぎと思うけどそこまで重荷に思うのもすごくわかるんだよな……愛されてるから……
てかルイくん色男すぎる なんだその髪型……本当に田舎育ちか!?こんなんいたらクラス全員恋に落ちるだろ

突然真面目な話になりますが、トツ子が作中で何度も祈る一節、

神よ、変えることのできないものについて、それを受け入れるだけの平穏を与えてください。

そしてひよこ先生に続けられる

変えるべきものを変える勇気を、
そして変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。


ニーバーの祈り

これ、聖書からの引用でもあるけれど、キリスト教徒の中ではぱっと唱えることが出来るようになってる祈りの一節でもあったんですね……
平穏を祈る言葉と、変化への強い心を祈る、人の心の支えとなる優しい言葉を持っているんだなぁと心が柔らかくなりました。
ひよこ先生、徹底してトツ子に寄り添ってくれてて本当にいい……すごく、こういう人に先生をやってほしいと思う 日本の将来のために

トツ子の中にずっとあるもの、神様とバレエと色、どれが欠けてもこの映画にはなりえず、それが柔らかくこの世界を色付けていてすごくよくて……
ひとの色は見えるのに自分の色は見えないことをすごく悔しく思っているのも良い……

3人の出会いがきみちゃんに執着する2人で、そのキミちゃんも不安定で、すごく高校生の考えすぎ多感な時期を丁寧に描いていてとてもよかったです。

てか楽器持ち寄ってスリーピースバンドやるのすごく青春でいいよすぎるんですけど、ギターとキーボードは分かるけどテルミンて!でもテルミンとかオルガンとかすごくよくて……ルイくんの音楽への執着と才能とセンスに嫉妬……かっこよすぎる……
バンドをこっそり練習するのが島というのも、女子ふたりには縛られた世界からの逃避感があっていいけど、ルイくんにとっては自分のテリトリーでやりたいことをやってる感じもいいし、そこが教会ってのもいいし、本当によさしかねぇ〜〜〜〜〜
曲を作れるのもトツ子はあっさり目にできるしきみちゃんも割とすんなりつくるのに、ルイくんが作るのに苦戦してるのも、いろんな葛藤が見えてわかる〜よさ〜!ってなってる
この世界全て良い

きみちゃんがおばあちゃんに学校やめたことを言えてないから修学旅行サボって部屋に泊めるのも、普段いい子ちゃんのふたりのちいさな抵抗でいいし、ふたりだけの世界があるのがいいな……好きすぎる……

クリスマスに雪で本島に帰れなくなる3人が帰れなくなった時も、ラジオで流れてくる音楽に対してコメントするみんながよいし、トツ子がジゼルを見よう見まねで踊る姿が好きすぎるし、それをみて喜ぶふたりもかわいいし、本当にこの3人は音楽と秘密で繋がってるんだ……ってなる

文化祭でバンド演奏をする3人もいい
このライブのために轟音で見てたんだなって分かっていい
先生達も、友達も、歌ってる子達もみんな楽しそうで、家族もみんなで聞きに来て、ほんとうによかったね……
水金地火木土天アーメン、トンチキなのに本当に楽しくてトツ子の人間性が出ていていい
ひよこ先生が最後まで見守らないのなんで!?と思ったけど前にトツ子が自由にクルクル回ってたのをみてうらやましかったのかな?すごくあの描写よかった

最後、トツ子が自分の色を見つけるのが自分が慣れ親しんだ寮の中庭で、みんなと踊ったジゼルをやってる時なのもいいし……

エンディングで大学に行くために離れるルイくんを見送るふたりもせつないし、あのカラーテープの描写もよすぎた……
ああやって若い人たちが田舎からいなくなっていくんだなってのもわかるしさ……
田舎出身としてはすごく苦しくなるね……
本当の本当の最後のカットは泣かされましたね……

総括すると本当に綺麗で柔らかくて繊細で、切なさと愛しさで包み込まれた映画でした

さいきんはトツ子たちのバンドの音楽をかなりリピートしてきいてます

ここのところ音楽をあつかう映画をめちゃみているきがする

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