【戦慄怪奇ワールド コワすぎ!】8年ぶりの新作が“コレダヨ、コレ”すぎて嬉ションしかけたオタクの雑記
2年以上ぶりの更新なのに、下品なタイトルでごめんなさい。2年前、ハセガワくんが相撲漫画で日々の「コレジャナイ」感からの脱却から成功していましたが、私はなかなか感情の死から抜け出せず……。ていうか、相撲マンガで感情が生き返るって、構造が特殊すぎやしませんか?
とにかくこの2年、異世界悪役令嬢マンガでメンタルの疲れを癒やす日々でした。中でも『悪役令嬢転生おじさん』は隅から隅まで本当に優しい世界で、どんなにメンが疲れ切っている人にもおすすめできます。優しい世界も極まれば“ご都合主義の狂気”なので、なんか変な脳汁が出ます。
あと、ポジティブ地獄7丁目って感じの『ふつつかな悪女ではございますが 〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜』や、異端の暴全解系悪役令嬢の『最後にひとつだけよろしいでしょうか』も推してます。もっと元気でヒマになったら、悪役令嬢ものについても書きたいですね。
そんなこんなでゆるゆると過ごしていた私の心に電気ショックをかましてくれたのが、「8年ぶりに『コワすぎ!』の新作が劇場公開される」というニュース。えっっ……『コワすぎ!』の新作を劇場でリアタイできるんですか? しかも、旧作がぜんぶアマプラで配信されるんですか? 急にエモーションが息吹き返しすぎて、どうにかなってしまうかと思った。
ハセガワくんもこんな気持ちだったの……?
そしてなんと、あのホラー嫌いのハセガワくんがアマプラで『コワすぎ!』を見てくれたんです! 待って、これって初めて「推し問答」が成った瞬間では?
ハセガワくんからは「思ったより物理でめちゃ笑いました! 力こそすべて。」という妙に芯を食った感想をいただきました。そう、『コワすぎ!』の世界では、力こそすべて。
『コワすぎ!』は永遠だょ…! と叫びたい
無事に舞台挨拶回のチケットゲットに成功して、ほくほく顔で朝9時半の渋谷に向かいまして。ここからは新作の推しポイントをご紹介していきたいと思います!
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なるべくネタバレは避けますが、何に触れてもネタバレになりかねない作品なので、これから鑑賞予定の人はブラウザバックでお願いします。
(「ブラウザバックでお願いします」って、なんか懐かしいワードですよね)
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【推しポイント①】最新作では暴力装置が増えたよ!
『コワすぎ!』の見どころといえば、工藤Dが金属バットを手に、怪異に物理攻撃で立ち向かっていくところ。『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-01 口裂け女捕獲作戦』で口裂け女を車で撥ねて捕獲しようとしたのはあまりにも有名な話です。
その他にも、
・幽霊に取り憑かれて暴れ出した投稿者たちに呪いの飾り物を装着させて、「幽霊が勝つか、呪いが勝つか実験だよ実験」と殴りつける(『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-02 震える幽霊』)
・五芒星の中心に立って河童を迎え撃つ(『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-03 人喰い河童伝説』)
・気合で満タンの金属バットを片手に、「こっくりのクソ野郎!」「腰抜けこっくり!!」とこっくりさんを挑発する(『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ! FILE-01 恐怖降臨!コックリさん』)
など、その暴力エピソードは枚挙にいとまがありません。
そんな工藤Dに加えて新作では、市川さんも暴力装置化。工藤P(新作ではDからPに)のパンチを交わし、みぞおちにボディーブローを叩き込むというゴキゲンなアクションを見せてくれます。更に、「拳に良い気を持っている」「怪奇現象にも効くはずだ」と霊能者・鬼村さんからも太鼓判。
作品中の暴力濃度が高まれば高まるほど面白さが増すという、シンプルな世界観に生きているので、拳を振るう市川さんの姿には鳥肌がたつほど興奮しました。わたしも暴の力を手に入れたい!
ちなみに演者の久保山さんは「今回はアクションがあると聞いていたので、殺陣を習ったり、とある武術に入門したりしましたが、まさかのパンチ特化型とは…」と語っておられました。
【推しポイント②】霊能者キャラが特濃MAX!
白石監督作品の特徴の一つに、クセ強な霊能者の存在があります。
中二病ぽさを感じさせる金髪ホスト風イケメン霊能者NEO(『オカルト』)や、これまた金髪・指ぬき革手袋のイケメン霊能者のナナシ(『オカルトの森へようこそ』)などなど、いわゆる“霊能者”らしくないデザインで、超絶霊能力をふるうというのが王道(?)です。
そして本作では、鉄パイプを担いだ金髪ギャル霊能者が登場。一人称は「珠緒ちゃん」で、一回り以上年上の鬼村の師匠、時空を自由自在に行き来する能力を持ち、お金にはそこそこうるさく、初対面の相手にも一切臆せずタメ語。俺たちオタクが大好きなギャルすぎないか……?
あと、珠緒師匠役の方が、『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-04真相!トイレの花子さん』の菜々役(投稿者のうちの一人)、『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪』のつぐ巳役(蛇女)と知ってびっくりしました。女優さんってすごすぎる。
珠緒師匠も大好きなのですが、本作での私のイチ推しキャラは霊能者の鬼村伊三。颯爽と自転車に乗って笑顔で登場したので、「じゅん散歩」的な番組が始まるのかと思いました。
いかにも胡散臭げな霊能者なのですが、手かざしで過去が見える実力派でもあります。
そして、「インチキだよ」「嘘つき」とナメた口を聞いてくる若者たちにも「君たちもね、守ってあげるから」と声をかける、圧倒的“保護者”感……! これは推すしかないですね。
更に、不可解な事象が起きたときに「あり得ない。あり得ない。工藤さん、東京に帰りましょう」と撮影に反対する真顔ビビりっぷり、珠緒師匠に電話で事情を説明するときの手際の良さ、覚悟を決めて怪異に対峙すると決めたときの血走った目、圧倒的に“生きて”いる……! いるよ、このおじさんきっとどこかに実在してるよって思いましたね。
もう鬼村さんの日常まで見えてきた気すらする。スーパーでのちょっとした買い物くらいなら「袋大丈夫です」って言って、アイスコーヒーのペットボトルを右手に持って、左手には長ネギ、じゃがいもとナスを小脇に抱えて帰る……というおおらかな姿が完全に見えます。
あーでも、几帳面にエコバッグ持ち歩いてそうな気もする……。どっち? どっち派なの? 鬼村さん!
ものすごいスピードで鬼村さんのことを好きになっていくと同時に、「白石作品で、師匠を呼ぶ霊能者はほぼ全員死んでいる」という最悪な法則を思い出し、ブルーになりましたが、安心してください。本作では、師匠を呼ぶ霊能者が死にません。(この映画では犬は死にません、的な)
余談ですが「(赤い女には)物理攻撃いけますよ」という鬼村さんの台詞のあと、これから何が起きるのかを予見した、古参ファンの含み笑いが劇場のそこここから聞こえてきました。結局みんな、暴力が好きですよね。
【推しポイント③】コワすぎ! ヤバすぎ! オモロすぎ!
久しぶりの新作を見るにあたって、白石監督の著書『フェイクドキュメンタリーの教科書: リアリティのある“嘘"を描く映画表現 その歴史と撮影テクニック』を読み返しました。
その中に「『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』の作り方」という章があります。そこでは『エヴァンゲリオン DEATH & REBIRTH』の投げっぱなしの気持ちよさについて語られています。
それを超える気持ちよさを体現したのが本作。2時間超え映画が普通になりつつある最近の風潮とは対照的に、上映時間はたった78分。最初は「嘘だろ、いっそ5時間くらいコワすぎ!の世界に浸らせてくれよ!」と正直思った。
しかし、しかしだ。実際に鑑賞してみると、あまりもの内容の濃さとエネルギーに、バッキバキに揺さぶられた。何より、吉田沙保里のタックルくらい力強くスピード感に溢れた投げっぱなし感が心地いい。
ラストに向けて物語をたたむなんて、常識的ことはせずに、むしろ最後の最後で風呂敷を思い切り広げるという爽快感。この気持ちよさはコワすぎ!シリーズでしか味わえないと思う。なんかもう、劇場全体が多幸感に包まれていました。帰り道、本当にホラー見に来てたんだっけ? と首かしげた。
味わえる感情の幅も高低も、もはやホラー映画の枠に留まらない。コワすぎはマジでヤバすぎでオモロすぎでした。
鑑賞後、どこからともなく聞こえてきた「めちゃくちゃエンタメしてくれて、ありがたかった…」というつぶやきがすべてを表していましたね。はあ、寿命が延びました。ありがたや、ありがたや。
「コワすぎ!」の最終作って嘘ですよね?
こういうシリーズものって、続くほどにメジャーになって「コレジャナイ」になっていきがちなんですが、「コワすぎ!」に関しては「コレダヨ、コレ!!!!」感しかありませんでした。
(『トリック劇場版 ラストステージ』の「コレジャナイ」を私は一生許さない)
ただ唯一「コレジャナイ」のが、これが「コワすぎ!」の最終作だということ。確かに、作品からは「これでラストォォォォ!!!!!」とエヴァ量産型をぶっ壊す、惣流・アスカ・ラングレー並の気迫が伝わってきましたが……。まだ終わるときじゃないでしょ〜。
と思ったら、舞台挨拶で「あまりにも会社が儲かったら会社もつづきを出しますよという可能性はありますので」と!!!!!!
よっしゃー! これは劇場に通い倒して、工藤Dを100億の男にするしかないな!!!!
運命に逆らえってな!
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