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おしぼり家
2021年12月17日 00:12
朝の日差しを浴びても底冷えする部屋で一人毛布に包まる頃、私は年の暮れを感じながら、白湯をすすっていた。何時に寝ても寒さで起きられず、かといって前の晩に暖房のタイマーをセットする甲斐性もなく、また一つ歳を重ねる。我慢してベランダに出ると、気管支まで感じる澄んだ空気と、ほんの少しだけ身体に熱を与えてくれる太陽が、毛布の上をさらにコーティングする。未明のグラデーションの空は、年の端のためにせっせと白地に
2021年9月13日 16:12
日常から少しだけはみ出せる唯一の場所、銭湯。浴場を通して各々が社会と曖昧な関係となり、つかの間の極楽を得る。公共空間でありながら、時間の流れは自分だけのもの。裸一貫、ワンコインで、あなたとわたしの境目である湯へ目指す。風にあてられながら歩いて帰るのが楽しみになり、明らかに季節の変わり目を感じる頃、気づけば少し前に越してきたはずの場所が自宅としての役割を纏い始めた。素敵新居だと思っていた住
2021年6月28日 13:18
日常から少しだけはみ出せる唯一の場所、銭湯。浴場を通して各々が社会と曖昧な関係となり、つかの間の極楽を得る。公共空間でありながら、時間の流れは自分だけのもの。裸一貫、ワンコインで、あなたとわたしの境目である湯へ目指す。社会に入ってから数年、フリーター期間も含めて、オリンピック周期ぐらいは経過したが、初めてのゴールデンウィークを経験した。今までは、仕事の帰り道に、知らなかったと自分に言い聞