作品制作中の男の日記②
私はコロナ禍でアニメーション制作を始めました。あの頃ためらいなく制作に打ち込めていたのは音楽活動の自由が制限されていたからだ、と後になって気づきました。そりゃあそうだあの頃は「時間があったからね」という意味ではありません。「発信したいことがあるのに、表現手段が奪われてしまった。ならば演奏(ライブ)以外で表すしかない……」という強い決意が働いてのものだったのです。
その頃も今も、私の作るアニメーションは音楽または音楽家が主役です。再び演奏活動の自由を取り戻した今、「敢えてアニメーションで表現する必要性」についてもの凄く考えるようになりました。
自作のストーリーでまとまった長さのアニメーションは 2022年夏(受賞した作品)以来ありません。実は去年も新作のコンテをほぼ完成くらいまで描いたのですが、結局ボツにしてしまいました。話が面白いとかつまらないとかではなく「それはコンサートじゃ伝えられない事柄なのか?」と自分に問うた結果です。
なのに今、懲りずにまた重い腰を上げ、先月から新作のシナリオ・今日からそのコンテを描いています。