作品制作中の男の日記①
作曲にせよアニメーション制作にせよ、物語を考えるときは自分の身の回りの体験を題材にします。それを誇張させたり、削ったり、もしもを想像したりしながらオリジナル作品として練り上げていきます。
作曲の場合「かっこいいメロディや和音を探す」という作り方は殆どしなくなって、「曲のストーリー展開に合っているか検証する」ということばかりを繰り返して作ります。
いまは新作アニメーションのシナリオを考えている期間です。作っているのは昨今の世の中で起こった問題を元にしたホントの様なウソの話。あれウソの様なホントの話?いや、ただのフィクション?違うな、全部ホントの話だったっけ……この期間は何かの角でも掴んでないとまっすぐ立っていられないような、現実と空想の境目が曖昧でどっちがどっちか判別できないふわふわとした状態に長時間陥ります。自分の作ったウソを限界まで信じることで初めてその先の展開が見えてくるのですが、危険な営みなのかもしれません。
ただ、演奏家にしても、危険を冒すほど深く曲の世界に没頭して音をひねり出せる人が、私は好きです。