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パンドラの箱

早いもので、彼女と別れてから半年が経つ。

なんとなく、ただただ時間だけが過ぎていった。

僕の感情はあの頃のままか?と問われたら、どこか違う。

だけど、ふいに思い出してしまうのは、まだ吹っ切れていないから、なのだろう。

正直、「好き」なのか「執着」なのか自分でも分からなくなってしまっている。

そんな僕は、つい先日パンドラの箱を開けてしまった。

そう。元カノのSNS。

あれだけダメって言われてたのに、だ。

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見てもいいことはない、と分かっていながらも見てしまった。

僕は愚か者だ。

かつて、僕との楽しい思い出がつらつらと綴られていた彼女のSNSからは、僕だけがすっぽりと抜け落ちていた。

まぁ、当たり前か。

「昔の写真とか消さないタイプなんだよね。」

こんな時に彼女の言葉を思い出す。

当時の僕は、彼女の過去のSNSを遡ることはしなかった。

少し気になったけど、今この瞬間は、彼女が僕を好きだという自信があったから。

そしてそれが、彼女の過去の大事な思い出なのだとしたら、僕がとやかく言う権利は別にないと思った。

仮にそれが、元カレだろうがなんだろうが。

僕はSNSに写真はあげないけれど、過去を辿れば元カノの写真がフォルダに残ってるはずだ。

別れたからって、いちいち消す作業をしない。

かといって振り返ることも、ほとんどないのだけれど。

つまるところ、人のことをとやかく言える資格を僕は持ち合わせていなかった。

そして先日、彼女のSNSを見た僕が思ったこと。

いやいや。ワシ消えとるやないかーい。

なんとも言えない気持ちになった。

でも、消えていたのは僕だけで、一緒に見た風景はそのまま残されていた。

あぁ、やっぱり見るもんじゃないな...。笑

新しいパートナーがいる気配はなかったけれど、虚しさだけが残った。

同時に、どこかホッとしている自分に情けなくなった。

やっぱり過去は振り返ってはいけないのだ。

自分から去っていった人を、追い続けても意味がない。

頭では分かってはいる。頭では。

結局のところ、どんなに考えたって彼女が僕の元から去って行った本当の理由は彼女にしか分からない。

当たり前に、今さら確認もしたくない。

綺麗事なんて、いくらでも言えるから。

もしかしたら、本当は自分に原因があったのかもしれないし、彼女にあったのかもしれない。

もっと言えば、「ただなんとなく離れたくなった」なんてこともあり得る。

誰だってそうだ。

執着せずに、ご縁があったらまた会いましょう。くらいが、きっとちょうどいいのだろう。

僕の人生の中で本当に大切な人だったら、きっとまた会える。形はどうであれ。

僕は大切な人に、有限の時間を使いたい。

そして、僕を大切にしてくれる人と幸せになりたい。

諦めとか負け惜しみとかではなく、シンプルにそう思う。

あぁ。だけどやっぱり、僕はまだ。

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