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【愛知】重箱うどん / 今吉

縁起を巡る旅「めでたび」の概要はこちら。

この「めでたい探し」を始めて、私はどうしても食べてみたいものがあった。

それがこちらの重箱うどんだ。

愛知県の津山市は尾張と伊勢を結ぶ重要な地点として栄え、江戸時代中期に津山名物「重箱うどん」が登場する。
この地域に伝わる漆塗りの重箱にうどんを入れ、江戸時代に伊勢参拝に行く旅行客の舌を唸らせた。

しかし現在は、この重箱うどんを食べられるのは全国でも一店舗のみとなってしまった。この「今吉」というお店が重箱うどんをやめると、重箱うどんが絶滅してしまう。
その前に、是が非でも私は重箱うどんを食べてみたかった。

かなり立派な佇まい

落ち着いた店内に座りメニューを開くと、その最初のページに「重箱うどん」を見つけた。
たまり醤油や昔仕込みのみりんを使った「赤つゆ」と、白たまりと白醤油を使った「白つゆ」の二種類。これも紅白で縁起が良い。
心の中でほくそ笑みながら、せっかくなので両方を注文してみた。

具材はえび、しいたけ、三河地鶏、あげ、手毬麩、季節の青物。なんと入っている具材の全てが縁起物!
日本では縁起の良い食材が山ほどあるが、中でもおせちに入る機会が多い具材で構成されている。食べる前からもう最高に満足してしまった。

赤つゆは愛知県特有の濃い味、白つゆは関西風の薄めの味。分厚い木で作られた特製の重箱は熱を伝えず、うどんに特化した重箱だ。ふだん重箱に汁物を入れ、そのまま食べる機会はなかなかない。私のような重箱好きにはたまらない一品。

江戸時代の平民は旅行する機会が一生に一度と言われているし、きっとどちらを食べるか悩みに悩んだだろう。そして「重箱に入ったうどんを食べた」と村人に自慢したりしたのかな。
などと妄想しながらうどんを頬張る。

伝票もどことなく縁起が良い

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