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「気の緩み」は悪くない

コロナの感染者数が増えてくると「気の緩みが原因」などと言われます。まるで「気が緩む」ことが悪いかのような言いっぷりですが、気が緩むということ自体は別に悪いことではありません。

心身の状態には「緊張」と「弛緩」がある

「緊張」というのは、分かりやすく言えば「力を入れた状態」のことです。手をグーにするためには、力を入れて筋肉を緊張させる必要があります。

「弛緩」というのは、その逆で「力を抜いた状態」のことです。グーになっている手の力を抜くと、ふんわり指がほどけますよね。ただ、パーにするためには、指を伸ばすために力を入れる必要があります。脱力した指は、内側に軽くカールします。

手に限らず、これは全身にもそのまま当てはまります。人には「緊張モード」と「弛緩モード」があるのです。

「緊張」と「弛緩」を行き来して自分を保っている

そもそも、人はずっと「緊張」したり「気を引き締め」たりしていられません。そんなことをすれば、病気になってしまいます。人の心身は、「緊張」と「弛緩」を行ったり来たりすることで、健康を保っているからです。

リラクゼーションは弛緩させるためのメニューです。ものすごく色々な種類があって、かなりお金のかかるものもありますが、それは慢性的な緊張状態にある人が多いため、弛緩させるサービスが成り立っています。

そこにコロナがやってきて、不安な人が増え(不安だと弛緩出来ません)ているようなときに、「気の緩みが悪い、もっと引き締めろ」というのは、ちょっと偏ったメッセージではないでしょうか。

それをするために「最適の緊張」

バッターボックスで、バッティングをする前に体を揺らして緩める動作をしています。人の筋肉は、緩んでいる部分だけがす動作(つまり緊張)することが可能です。ガチガチに緊張してバッターボックスに立ってしまえば、多くの球種に反応出来ません。

では、どんどん筋肉を緩めていくとどうなるでしょうか。バッターボックスに立っている人がどんどん弛緩していくと、最後は横になって寝てしまいます。いくら緩めた方がいいからといって、横になってしまってはバッティングそのものが不可能です。

立ってボールを待ち構えるのに必要最低限の筋肉には、力を入れる。
多くの球種に対応するため、それ以外の筋肉は、緩めておく。

このように調整された状態を、「最適な緊張」と言います。バッティングは一例で、取り組むことにそれぞれに対して最適な緊張があります。

緊張が続けば、緩める必要があります。緩みすぎれば、緊張させる必要があります。どちらが良いとか悪いではありません。たったいまのあなたに必要なのは、どちらでしょうか?

何より大切なのは、自分で自分の心身に、それを尋ねる態度ではないでしょうか。

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長田英史(おさだてるちか) / NOT SHIP
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