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ないから生まれたものもある(もやし丼の思い出)

先日、メンバーと事務所で飲んでいるときに、つまみに「納豆オムレツ」をつくりました。たっぷりの挽き割り納豆に、焦げ目がつくまで焼いた長ネギ、さらに塩昆布を入れて仕上げました。すごく美味しくてよかったのですが、たまたまその材料が残っていたからこそ、思いついたレシピでした。

準備万端で条件が整っているからこそ生まれるものもありますが、使えるものが限られているからこそ生まれるものがあります。制限によって発揮される創造性があるということではないでしょうか。

残りもので作る料理は創造性の産物

「こういう料理をつくろう!」

ゼロベースで考えたり、レシピを紹介するサイトを参考にしたりして、まず完成型を決めてから、作られる料理があります。一方で、残りものを使って、あるものでなんとか料理を作ろうということで、生み出される料理もあります。

学生の頃、ある寒い深夜に、総勢4人で友人の家に泊まりに行くことになりました。全員ハラペコでしたが、その夜は驚くほど持ち合わせがなく(100円未満)、外食を諦めて深夜営業のスーパーに入りました。「米ならある」という家主の発言もあり、おかずを求めて入店しました。

買えるものはとても限られていましたが、安売りのもやしが目にとまりました。ただでさえ安いもやしが、さらに安売り。2袋買って、寒い中を友人宅になだれ込みました。

そして「もやし丼」爆誕!

大抵、料理は僕の担当でした(他の人があまりにも出来ないため)。そのときも食材は極めて限られていました。

ご飯が炊き上がるのを待ちながら、タイミングを合わせて、もやしを胡椒をきかせたスパイシーな味噌バター炒めにして、2個だけ残っていた玉子でふんわりとじました。食卓に並べたところ、

「これ、丼にしない?」

と誰かが言いました。それならばと各自ほかほかご飯の上にもやしを投入!ちょっと元気がないとろけるスライスチーズがあったので、ぺっぺっとトッピングしました。チーズがとろっと溶け出したら「もやし丼」の完成です。

寒さと空腹が最高のスパイスだったのは言うまでもありませんが、すごく美味しくて、その後調子に乗って学祭で売ったら数十万円売り上げになりました。

ないことから始まることもある

ものが「ある」ことから始まることがある一方で、「ない」ことが奏功して生まれるものがある──それは、当時の僕にとって、とても楽しく勇気が出る出来事でした。

五七五という制約があったからこそ俳句が文化にまで押し上げられたように、制約は人を縛り付けることがある一方で、自由にします。

「あるものでやるしかない」と思うことで肩の力が抜けて、思わぬ可能性を掴むことが出来る。もやし丼の思い出は、そんなことを思い出させてくれます。

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長田英史(おさだてるちか) / NOT SHIP
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