コロナ時代の研究者
コロナウィルスの影響で、私の務める予定の大学では2週間延期が決まった。
研究分野によって、研究者はコロナの影響を受けていたり、受けていなかったりする。
意外と困らない人たち
あまり影響を受けていないのは、例えばコンピュータサイエンス系の研究者たちだろうか。自宅からリモートで研究室のコンピュータにアクセスでき、自宅からでも全く不都合なく通常通りの研究ができている場合が多いようだ。
実は大学によっては、春学期の授業を全てオンライン化するという可能性も模索されているようだが、実際これは大学全体でやるとなるとハードルは高いだろう、そもそも、大学生になりたての子は、しばしばコンピュータすら持っていないこともあるからだ。
その点、コンピュータサイエンス系の学部・学科になると、学生のリテラシーも高いため、気軽にオンライン講義の可能性を検討できるのかもしれない。
困る人たち
私の知り合いで頭を抱えている例が、実験心理学を専門とする研究者だ。どうしても彼らの研究は、実験室に、実験参加者を呼んでこないと始まらないことが多い。
実のところ、自分はコンピュータサイエンスと心理学の狭間にいる研究者かもしれない。もちろん、遠隔でできることはあるのだが、遠隔では不便なことも多く、困ってないわけじゃない。
心理実験はオンライン化できないのか?と思われるかもしれないが、実際心理実験をやってみるとその難しさを痛感することになる。実験室で統制された環境で、実験参加者にかなり集中してやってもらって、やっと差が出る。統制を取るということを怠れば、求めていた結果を数字として取ることができず、実験が破綻してしまう、オンラインで今まで心理実験でしてきたほどの統制を取れるだろうか?
また、対面で実験した場合の心理的な効果と、オンラインで実験した場合の心理的な効果も異なる場合がある。オンラインの実験成果を持って、対面でも同じ効果が得られるという主張が認められるかは難しい問題なのだ。
コロナの影響が続くとしたら・・・
続くとしたら、実験心理学の学生たちは、卒論、修論、博論を全く進められないことになるのだろうか。そうなったら大問題である。
このご時世だからこそ、オンラインで心理実験をする方法論の確立とまでは言えるかわからないが、オンラインでできる心理実験を考えてみるきいい機会かもしれない。
もしそれが広がれば、心理学者の実験の負荷を、コロナウィルスが落ち着いた後の世界でも減らせるかもしれない。
今だからこそできる発明を。
そんな気持ちになった夜だったのでした。
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