TikTok見てるおばあちゃん
月曜日。月曜日はとっても疲れる。
土曜日に遊んで日曜日にたっぷり寝たのに、なぜか月曜日は一番疲れる。
残った仕事を明日の自分に押しつけて、PCを閉じて、マグカップを給湯室で洗って、コートを羽織って、階段で2フロア下がって喫煙所で一服して、新宿駅まで7,8分くらいかけて歩いて、埼京線に乗り込む。
座りたいけど、だいたい座れない。新宿駅始発の電車を20分くらい待てば座って帰れるんだけど、座るために20分立って待ってるのも癪なので、だいたい立って電車に揺られている。
運が良ければ、目の前の席が空いて座れる。
今日の私は運が良いので、目の前の席が空いた。
空いたんだけど、ちょっとだけ運が悪かった。私の隣にはおばあちゃんが立っていた。
どうぞ、どうぞ、と手を差し出しおばあちゃんを私の目の前の席に座らせた。おばあちゃんを気遣ったというよりは、"おばあちゃんを立たせた若者"になりたくなかったので。
おばあちゃんは、どうもね、とゆっくり座った。手にはスマートフォンを持っていた。
私の目の前に座るおばあちゃん。なんとなしに、おばあちゃんのスマホの画面が見えた。
おばあちゃん、TikTokを見ていた。
うーん、なんだろう。別に良い。別に良いんだけど、へとへとに疲れた私より、TikTokを見ているおばあちゃんの方が、たぶん元気だ。
最近のお年寄りは元気ですね、みたいな話じゃなくて、なんかバイタリティみたいなものが違う気がする。
3駅後にその2つ隣の席が空いたので、私は座ってすぐに寝た。
最寄駅の駅前の西友で、3割引のカットレタスとアーモンドチョコレートをカゴに入れて、セルフレジで会計を済ませた。
店を出たら、駐輪場で走り回る5歳くらいの男の子とぶつかりそうになった。とっても元気な子だった。
帰ったらM-1のワイルドカードの結果が出ていて、ロングコートダディが勝ち上がっていた。ロングコートダディは好きだけど、今年のネタで勝ち上がるのはどうなのかねえ、などと思った。
昔のバンドメンバー(といっても2人組だったので、相方という感覚に近い)にLINEして、どう思う?などと聞いた。この人とはもう音楽の話はほとんどしないで、お笑いとハロプロの話しかしない。不思議な仲である。
寝て起きたら、また満員電車に乗って会社に行く。会社の人は、誰もTikTokを見ていないし、走り回らないし、M-1も見ていないしハロプロの話もしない。
THE FIRST TAKEのモー娘。の話とかみんなしないのおかしくない?と毎日思ってる。
年上の人は仕事か子どものサッカーかお酒の話ばっかりだし、年下はネトフリの恋リアか知らないユーチューバーの話ばっかりしてる。
つまらない。つまらないけど、多分みんなも私のことをつまらないと思っている。だから別にみんなを責める気はない。
疲れた、疲れたけど、お風呂に入ったらスッキリしてなぜか元気が出てきた。この元気、お昼に出たらいいのに。
元気が出たからといって何か実になることをするわけではなく、Amazonを開いて抱き枕を買おうか悩んでみたりして、いや、でも抱き枕は邪魔になるかなあなんて思って、冷静になるためにこうやってダラダラと長い文を書いたりしてみている。
誰かと話すほどでもないことを、誰にも話せないからこうやってダラダラ書く。孤独も板につきましてってやつです。
どうですか、こんなダラダラ長い文章を最後まで読んだあなた。あなたもなかなか寂しいですね。
私は1、あなたも1。足して2になることはないんだけど、同じ1が自分以外にもいると思うと、なんだかそれも悪くないじゃないですか。