マガジンのカバー画像

エッセイ

50
運営しているクリエイター

#バンド

心臓と脚が震える重低音

心臓と脚が震える重低音

下北沢、地下、数センチだけ高いステージ、立ち位置はいつもの下手。
フロアにはほとんど見知った顔、少しだけ知らない顔。
自分の背丈より少しだけ低いベースアンプ。ピックで弦を弾けば、ドッと心臓が震える重低音。

俺が、この重低音を鳴らしている。

自分のベースの音とJCの音はよく聴こえる。上手のマーシャルの音だけもう少し返してもらおう。
バスドラは、よく聴こえる。スネアもハイハットも、聴こえる。タムの

もっとみる
生活は映画のようにゆっくりと

生活は映画のようにゆっくりと

音楽で飯を食いたかった。
良い音楽を作り続けたい、ではなく、音楽で飯を食いたかった。
自分の作った音楽でMステに出たかったし、ドラマのエンディングで流れてほしかったし、カラオケで誰かの部屋から漏れ聞こえてほしかった。

音楽を生業にしたかった。
大学卒業までにそれが叶わなかったから、音楽をやめた。自分の中では決めていたことだから、何も悔いはない。

営業、デスクワーク。自分の時間の大半を割くこれら

もっとみる