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海砂糖とわたし

「海砂糖だね」
「めずらしいね」
「まさか見れるなんて」
「やばっ! 柊が拝んでる!」
「これは拝む案件」


海砂糖が舞う。
ひらひらと、ゆらゆらと
桜の花が咲くように、
キラキラ舞っては、落ちてゆく。溶けてゆく。
白い雪がつもるように
静かに地面を隠してくれたらいいのにね。


昔は自転車を飛ばして、
ここまで来たんだっけ。
柊のうしろに乗って、
風を切るあなたを後ろから見つめてた。


「まさか、今日、見れるなんてね」
「めずらしいわよね」
「昔、柊は拝んでたよなぁ」
「今日は俺たちが拝むか」


ねぇ、柊。
あなたは見てる?
空からでも、見えてるかしら?

海砂糖が舞う。
ひらひらと、ゆらゆらと
桜の花が散るように、
しずかに舞っては落ちてゆく。跡形もなく溶けてゆく。
白い雪がつもるように
暗い地面を覆い隠してくれたらいいのに。


離れても
いつまでも
あなたのそばに。


#シロクマ文芸部

久しぶりの短編。
海砂糖って言葉が気に入ってしまったのでした

「海砂糖」から始まる小説・詩歌を書いてみませんか? みんなで読み合うお遊び企画です。締切は6/25(日)21:00。ハッシュタグ「#シロクマ文芸部」をつけてください。同タグがついた作品1つ以上にコメントするのがご参加条件で @komaki_kousuke #note

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とみいせいこ @おさんぽ日和
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