涙脆い、愛が多い。
大学の授業でとある小学校の運動会の映像を見た。全校を二つのチームに分けて、様々な競技で総合得点を競い合っていた。子どもたち自身が中心になっていて全員必死で、先生も親も本気で応援していた。
負けたチームの代表が泣きながら最後の挨拶をしている様子を見て、僕は思わず目を逸らし、スマホを触って気を紛らわせた。そうしないと泣いてしまいそうだったから。
そのとき僕は、中高の部活や高校の球技大会を思い出していた。恥ずかしいくらい本気だった。部活では何度か泣いたこともあった。悔しい、情けない、涙が溢れるほど強烈な感情がそこにあった。もしかしたら辛いことの方が多かったその頃を思い出して、懐かしさで涙が出そうになる。今となっては全てが懐かしくて美しい。都合いいよな本当。
別の授業で18祭の映像を見た。1000人の若者とRADWIMPSが「正解」を歌っている様子。これまで何度も見た映像だったが、久々に見て泣きそうになった。一人だったらきっと泣いていた。
18歳、高校の卒業式は無いに等しかった。僕が伝えたかった言葉は永遠に失われた。歌うことも集まることも憚られた。その悔しさを思い出して泣きそうになった。何年経ってもその気持ちは無くならない。
まだ時間が足りないだけで、それもいつかは美しい過去になるのだろうか。わからないが少なくとも今はまだ、そんな綺麗事にしたくない。
けれど全部が全部悪かったとも思っていない。あの後味の悪い別れが、僕たちを今でも繋ぎ止めている気がする。あの経験があったから、なんでもネットで済むこの時代に、僕たちはきっとわざわざ会っている。会える幸せを知っている。
なんだか涙もろくなったと感じた、いろんな過去を思い出した、そんな10月1週目だった。老いだなぁ。いい歳のとりかたをしたいな。金木犀があちこちで香る街を歩きながら、そんなことを考えていた。
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