最近、島耕作がスゴイと思う。
島耕作はスゴイ。
自分を支えてくれる。
自分に社会を教えてくれる貴重なマンガだと感じている。
今は「社外取締役島耕作」だ。
その前は「相談役島耕作」「会長島耕作」「社長島耕作」だった。
若いころにはほとんど興味がない漫画だったけれど、
社長島耕作あたりから気になってフォローしだした。
(ような気がする)
島耕作はスゴイ。
サラリーマンマンガだから、超能力も持っていないし、超現実的なことは何もない。
もちろんお話なので、様々な幸運が重なって成功していく、
ご都合主義ではあるけれど、ハリウッドアクション映画に比べば全然リアル。
彼の凄いところ。
彼は悩みはするが、悶々としない。
そのためにいらだってひどいことを言ったり、人を傷つけたりしない。
そして、だから、女性にモテる。
彼は仕事の能力がすごく優れているようには見えない。そうは描かれていない。
誠実に前向きに事にあたり、調べ、まあそうだよな、という判断をする。
そして仲間に助けられ、成功し、出世していく。
時に裏切られ、親しい存在と死別したりもあるが、仲間に囲まれ、孤独ではない。
読んでいて、すごく新鮮な気持ちにはならない。
わくわくしたり、勇気づけられることもそんなにない。
新しいアイデアが浮かんでくることもない。
翻って中年になった自分に照らしてみると、
自分は(少しうぬぼれて良ければ)特定の分野で彼より能力はあるだろう。
社会的に評価されるような特殊な専門家でもある。
でも、彼には人に好かれる魅力があり、運に恵まれ、成功していく。
つまり、それがない自分は、社会的にも金銭的にも大成功はしないし、多くの人に愛されることもない。
自分も中年になり、社会で成功する人たち、ひとかどの人物たちと年齢が近づいてきた。
プロ経営者、時代の寵児、一時代を築いたが消えていく人、一発屋、のし上がってくる人、ずっとすごい人。
見識をもって社会に発信している人の情報、自伝、人物伝などもあるけれど、自分とは何が違うのかわかりにくい。
「そうなりたいのか」と言われると微妙だが、
<そんな風になれたら良かったかも>と思わなくはない。
でも島耕作を読むと
<ああ、自分にはない能力が必要なのだな>
<成功するには人に好かれなくてはならないのだな>
とわかる。
もちろん、現実世界の身近な人物を見てもそう思うことはあるのだけれど、
まだ自分と重なる話だけに未練がつくというか、すっきりしない思いが残ることもある。
でも、
島耕作を読むと、お話だけに、
そしてまったく自分とは違ったビジネスの世界の住人であるだけに、
余計にそれが感じられる。
うらやましいわけではなく、<そういうことだな>と腑に落ちる。
そんな風に自分をハラオチさせてくれるマンガ。
だから島耕作はスゴイ。
自分を支えてくれる。
自分に社会を教えてくれる貴重なマンガだと感じている。