西宮ストークス観戦記#17 @広島1
シーズンオフに超大型と言っていい補強を敢行した広島ドラゴンフライズ。格段にレベルアップしたチーム力を、ここまでは存分に発揮しています。そのアウェーに乗り込んだ西宮ストークス。正直、勝てる気はしない。現時点での実力を測る機会といったところでしょう。そんな冷めた目線を吹き飛ばす展開を期待したいところですが。
◉アンストッパブル・バーンズ
立ち上がり、エチェニケ選手のインサイドでの存在感を活かして広島が先制。ところが、ここからまさかまさかのバーンズ先生のアンストッパブル・スリーポイント・ショーが始まります。トランジションでもハーフコートでも、コンテストされてようがお構いなしに4連発。その間にショットクロックを見てないようなシーンがあったりして、よくわからないよ先生。タッチは良さそうだけど、入り続けるとは思えないよ先生。でもまあ、入るなら、入るうちに点は取っとこう。
広島は大型補強の目玉だったトーマス・ケネディ選手がお休み、ジャマリ・トレイラー選手がスタート。そのせいか、ハーフコートのオフェンスに流れが乏しい。西宮の朝山選手へのマークが厳しいこともあり、思うように攻められず。古野選手をフリーにしないという点でも頑張っていて、ピックが来てもファイトオーバー。苦し紛れのパスが多くなり、ミスが増える広島。お互いややドタバタしたスタートです。
ただ、インサイドでは広島の圧勝。エチェニケはずっとインサイドにポストアップしてゴリゴリ押すタイプではないけど、合わせるのが上手いし、シュートも器用。周りの選手もそれをよくわかっています。本来の強みはディフェンスやリバウンドで、ブラッドさんのポストアップを完封。こんなに押せないブラッドさんはなかなか見られないよ。トレイラーにクリーンブロックされるし。広島のアウトサイドが来ない分、西宮が6点リードで1Q終了。
そんな中でもこの岸田選手のパスは上手かった。シンプルなピック&ロールから、裏に通すのがお洒落。今日はゲームメイクが冴えています。
◉コートを広く
今日の西宮はディフェンスがいい。特にガード陣をフリーにさせないから、広島のやりたい、ボールを速く動かし、フリーをつくって確実性の高いオフェンスを思うようにはさせません。マークの受け渡しもスムーズ。抜かれてフリーでシュートを打たれるというシーンがあまりありませんでした。
一方のオフェンスでは、広島のインサイドはやはり堅牢で、ウィングからボールを動かしながらハンドオフで繋いだり、ベースライン際をドライブして逆サイドで合わせたり。とにかくコートワイドに使おうという意識が見られます。真ん中はエチェニケとトレイラーがいるからなかなか使えないしね。いつもよりもスピーディーに見えるのは相手の鋭い出足に対応してのことでしょうか。
これなんかは最後ブロックされるんだけど結構好きで、スクリーンでエチェニケを外に出しておいて、空いたスペースへのドライブに合わせて土屋選手がダイブしている。もう一歩手前で止まれれば、ジャンプシュートを打てたり、パスアウトしたりできたな。そこは勉強ということで。
シュートがもう少し入ればリードを守れたのですが、残り5分前後から広島のランを食らって一気に逆転を許します。とはいえ、33−34というスコアはどちらにとっても予想していなかったものでしょう。インサイドで優位に立ちながらも、オフェンス組み立て時のミスが祟って波に乗れない広島。そこそこいい形はものの、シュートを決めきれず、インサイドはほぼ防がれている西宮。きっかけを掴んだ方が一気にリードしそうな予感もする。
◉一進一退は続く
そんな予感はまったく当たらず、あるいはお互いにペースを掴ませなかったということなのか、接戦は続いていきます。
広島が少しリードしながら西宮が必死に食らい付いていく展開。ハーフコートではブラッドさんへのポストエントリーを工夫。前半にも見られましたが、ドリブルで横切ったり、パスをワイドに展開しながらディフェンスを広げておいて、空いたインサイドにブラッドさんが飛び込む感じ。それでもやっぱりエチェニケを背負った状態だと全然リングに近づけない。そこをなんとかねじ込もうとするブラッド。見応えのあるビッグマンの肉弾戦。
はたまた相手のミスやディフェンスリバウンドから走って得点を繋ぎます。今シーズンの西宮は、苦しい時間帯を走ることで乗り切るシーンが目立ちます。試合の中で自分たちでペースを変えられるのはいい傾向。広島は全体的にややハンドリングが甘くて、ハンドチェックでボールを奪われるシーンがちょくちょくある。パスコースも甘い。日本人選手の勝負では広島に分が悪いかと思いきや、古野・朝山といった主力がやりづらそう。西宮は日本人同士ではミスマッチをあまり気にせず、どんどんスイッチして相手にプッシャーを与え続けています。
残り3分あたりから内藤選手、さらにお帰りなさいの俊野選手も使って選手を入れ替えつつ凌ぐ西宮。内藤選手の不運なスリーポイントファウルなどもありましたが結局、このQでも差はつかず。広島の2点リードで4Qへ。
俊野選手は決まらなかったけどいいドライブも見られて一安心。内藤選手もこの試合はよかった。ボールの中継役に徹しながらも、タイミングよく中へ合わせてファウルをもらっていました。役割を限定して、多くの選手を使おうとするフィッシャーHCのチーム作りが進んでいます。俊野選手も基本的には同じ。開幕あたりはハンドラーを任されてたけど、コンディション不良もあったし、一旦チームオフェンスの中でしっかり機能できるようにということかな。慣れてくればプレーの引き出しやシュート力がもっと生きるはず。
◉スリーガードでギアチェンジ
4Qもお互いに譲らない展開が続きますが、広島がリードを保つ流れは変わらず。そこを打ち破るべく、残り6分半くらいで西宮がちょっと面白いラインアップに。岸田・松崎の両PGに道原選手を加えたスリーガードにします。ハンドラーを多くすることで、攻撃を仕掛けられる位置を増やそうとするのがフィッシャーHCの考え方ですが、それを特化させた感じで、ボールムーブとスピードが増します。この時間帯でギアを上げられるのは大きい。広島のタイトなディフェンスに防がれる場面もありますが、西宮もハードに守って、ついに道原選手のスリーで逆転に成功します。
それはやはりスリーガードの賜物。ボールを運んできたのは岸田選手で、セットの仕掛けは道原選手からなんだけど、コーナーに松崎選手が待機してることで、追い込まれたように見えてそこからもう一度攻撃を仕掛けられる。だから道原選手が最後にどフリーになってた。こんな感じで、トップからの仕掛けに対してコーナーでPGが待っているというパターンは、今季の西宮ではよく見られます。松崎選手であることが多いんだけど、スピードのある選手がコーナーに控えているのは嫌だよね。道原選手のペネトレイトと上手に組み合わされたシステムです。このスリーガードはこれから多くなりそう。
試合はそこからまさに1点を争う攻防が続きますが、ルーズボールを繋いだ西宮が再びフリーの道原選手のスリーで差を広げると、残り1分を切ってまたしても道原選手がスリーをヒット! これはもう純粋に個人技。それまでシュートを外しまくっていたエースが、意地の3連続スリーで西宮がアウェーで貴重な勝利を手にしました。危ないシーンもあったけどね。序盤が4連発で最終盤に3連発。花火大会みたいな試合で、広島のブースターは納得いかない感じではなかろうか。
勝てる気がしないとか言ってごめんなさい。でも、広島に対してこんな試合ができるとは思わなかった。勝因は茨城戦と同じで、ディフェンスで頑張り続けられたこと。広島は連続でシュートが決まるというシーンが少なかったよね。さて、GAME2ではケネディが出てくるのでしょうか。元気がないように見えた古野選手も、気合を入れ直してきそうな予感。
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