映画『散り椿』感想
初見ではないけれど、AmazonPrimeVideoでの無料配信が3月末までなので改めて観た。
あらすじ
原作小説
原作は葉室麟の同名小説。
映画のキャストに合わせて登場人物の年齢や関係が一部変更されているほか、上映時間の都合により不正事件の内容も簡略化している。
しかし、セリフは原作からそのまま引用したものが多く、原作へのリスペクトは感じられる。
映画版では「蜻蛉(かげろう)斬り」なる詳細不明の技が登場するが、「雷斬り」と「蜻蛉組」の設定をカットしたことへの懺悔にも思える。
みどころ
キャストは岡田准一、西島秀俊、池松壮亮と、実力派揃い。
殺陣も静と動の対比が活きていて高品質。これ以上のものは中々ないんじゃないか。岡田准一は凄いねぇ。
が、一番の主役は風景なのではないかという気もする。
監督は黒澤明作品をはじめ多数の映画でキャメラマンを務めた木村大作。
なので、まあ、映像が美しい。
作中での時間経過は約1年なのだが、シーンごとに四季の描写が入る。
「日本の景色をとにかく魅力的に撮る」という強い決意を感じる。
ぼんやり季節の移り変わりを眺めながらチャンバラを楽しむような見方もOK。
脚本は前述の設定変更・カットの影響もあり強引な部分もあるが、亡妻の想いや旧友との絆など、ベタながら惹きつけるものもある。というか、価値観も含めて古き良き日本っぽい。
役人の不正、ハラキリ、自己犠牲的家族愛、そして切なさ!
最近は時代劇でも意外と「日本だぞ!」っていう映画がないよね。
「時代劇映画を観たい!」という気分のときに、色々な意味でちょうど良い映画。好き。