規格外の野菜をおいしく加工。“もったいない”から生まれた野菜チップス「coco-vege」
野菜チップス「coco-vege(ココベジ)」を中心に、健康的で環境にもやさしい商品をラインナップする開屋本舗株式会社。たこ焼きの屋台から始まり、「大阪商品計画」への参加などを経て農水省主催のアワードも受賞するなど、ぐんぐん注目が集まっています。代表の開田早代さんの歩いてきた道、そして未来への想いについてうかがいました。
廃棄になるたこ焼きをなんとか減らしたい
代表の開田早代さん
1998年に始めたたこ焼き屋台「たこ焼き小僧」からスタートし、順調に知名度を上げていた開屋本舗。事業としてはとても充実し、経営することへの楽しさも見出していましたが、とはいえ毎日大量に出るフードロスがとても気がかりだったといいます。
「たこ焼きはどうしても廃棄がたくさん出るんですね。それがすごくもったいなくて。余ったたこ焼きを潰しておせんべいにしたりもしていたんですが、ほかにも何かできないかと探す日々でした。そんなときに出会ったのが今も活躍してくれている真空減圧フライヤー。これだ!って思いましたね」。
真空減圧フライヤーとは、窯の中を真空にすることで100℃以下でもフライを可能にした調理器具のこと。揚げ物というよりも乾燥に近く、素材の色あせを防いで味も香りも栄養価もキープしつつ、それでいて保存性も高め、長期間おいしく食べることができます。これなら余ったたこ焼きも生かせるに違いない。そう思い、さっそく購入して調理をしてみたのですが、そう簡単に物事は進みませんでした。
「どれだけ作っても硬くて、全然食べられないんです。メーカーさんにも『もともと野菜や肉を加工する前提なので、たこ焼きはよくわからない。自分で探りながら作って欲しい』と言われてしまい…。試行錯誤しながら地道に作り続けて、結局、納得できるまでに5年もかかっちゃいました。今だったら絶対やりません(笑)!」。
“もったいない”の精神で商品をどんどん開発
たこ焼を珍味風に仕立てた商品
“もったいない”の精神から出来上がったたこ焼きのお菓子は「THE TAKO焼CHAN」として販売開始。たこ焼きの味をリアルに残しながら、スナックやおかきのような軽やかさが楽しめる意外性が受け、新聞・テレビ・雑誌などにも多数登場。新たな大阪土産として認知され、販路を拡大していきます。
と同時に、大阪の名産品・海老芋の、筋が多くて市場にはあまり出回っていなかった親芋も“もったいない”の気持ちで商品化。「大阪商品計画」に応募して作った「えび芋麩」をはじめ、特有のねっとり食感を生かした「えび芋ころっけ」や、筋の部分にもかかわらず味わい豊かな「えび芋チップス」など、これまで捨てられていた部分をおいしく蘇らせます。
香ばしく、カリサク食感が楽しい「えび芋チップス」
これによって環境に配慮した商品作りのベースが築かれ、「もったいないを、おいしいに」をコンセプトに据えてさまざまな商品開発をスタート。そんな経緯の中で、現在の主力商品である「coco-vege(ココベジ)」が誕生するのです。
「市場に出回りにくい規格外の野菜のことを、私たちは“個性派”と呼んでいるんですね。そんな個性派の野菜たちを積極的に仕入れて、もちろん農家さんには対価をしっかりとお支払いし、色あざやかなチップスに仕上げています。真空減圧フライヤーを使っているので壊れやすい栄養素もしっかりとれ、小さなお子さんのおやつにもぴったり。酸化しにくく熱にも強いココナッツオイルでフライし、体にも負担をかけにくいチップスに仕上がっています」。
パリパリとほどよい歯ごたえのあるチップスは、噛めば噛むほど野菜の風味が広がって太陽のエネルギーをたっぷりいただいているよう。色鮮やかな見た目も食欲をぐっとそそります。
生産者も消費者も笑顔にするために
「coco-vege」は見た目のかわいらしさも人気の秘密
「大阪販売戦略」では、この「coco-vege」をギフト用の商品にすべく、パッケージを含めてブラッシュアップ予定。というのも、ギフトにして単価を上げることで農家さんにより多く還元したいとの想いがあるからです。
「個性派の野菜であってもちゃんとおいしいし、叩き買いはしたくない。適正価格で買うことで、少しでも農家さんたちの助けになればなと思っています。そのためには、まずは見た目もきちんと整えてギフト用にし、高級感も出せればと。ギフト用の販路も今はあまり持っていないので、販路獲得の意味でもチャレンジしたいと思っています」。
定期的に開催される阪急百貨店の催事でも着実にリピーターが増え、ファンを獲得している「coco-vege」。“もったいない”の精神から生まれた個性派野菜チップスには、まだまだいろんな可能性が満ちています。
「今は『coco-vege』を作って販売するだけですが、いずれは個性派の野菜をまず生鮮品として販売し、残った野菜で『coco-vege』を作り、その廃油で石鹸を作るという循環構造にできたらと考えています。これが叶えば環境にもやさしいし、OEMのお客様の原価も下げられる。“もったいない”の精神で、まだまだやりたいことがいっぱいです(笑)」。
開屋本舗株式会社
0721-21-1326
大阪府富田林市中野町1-205-1