#63-2 大阪の農業生産額をとことん考える②~品目別~
前回は営農分類別で農業生産額を考えてきました。今回はより絞った範囲の「品目別」での生産額に注目していきます。
前回の記事はこちら。
テーマ「大阪の農業生産額が低下しているのはどの品目によるのか?」
(1)どの品目の影響が大きいのか
生産額が多い上位10品目の生産額の推移は次のとおりです。
このグラフから次のことがわかります。
・米の生産額が大幅に低下している。
・上位7品目で生産額の60%を占めている。
2017年から22年の産出額の減少額(-50億円)に占める各品目の減少額の割合は次のとおりです。
大阪の農業生産額の減少の大半は米によるもので、次にねぎ、ぶどうによる部分が大きいです。
ただ、この表には掲載されていませんが、キャベツも13億円→5億円と大幅に減少しています。
(2)生産額が増加している品目はあるのか?
逆にさきほどの表から、トマトといちじくは2017年から2022年にかけて生産額が増加しています。
完全な要因はわかりませんが、両方とも完熟により差別化ができる商品です。(大阪ではトマトは赤く完熟になってから収穫、いちじくも柔らかく完熟になってから収穫されます。)
(3)全国の傾向はどうか
一方で、全国でも全体の産出額は下がっています。こちらも米の生産額が大幅に低下しており、上位10品目では米とトマトのみ減少しています。
特にぶどうでは40%近くも生産額が増加しています。
まとめ
品目別の生産額をまとめると次のとおりです。
大阪ではほとんどの品目で2017年から2022年にかけて生産額が減少している。
その中で、都市農業の利点を活かせるトマトといちじくは生産額が増加している。
ぶどうやいちごなど全国では大幅に増加している品目が増加していない。
なぜ全国ではぶどうなどの産出額が増えている一方で大阪では増えていないのか
ぶどうを挙げると、おそらく品種転換が遅いことが要因と思われます。
ぶどうの産出額の増加は単価向上が大きな要因で、これはデラウエアを育てていたのが大粒のシャインマスカットに変わってきたことに起因すると思われます。
このように、特に植えてから5年後くらいに成園になる果樹では、新しい品種が開発された時に導入に踏み込むかどうかが産出額に大きく関わってきます。