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人生初めてのバイト先での再会

お正月に帰省した際に、私が初めてアルバイトをしたお店に行った。3年に1度くらい行くけど、一人で行くのは相当久しぶりだった。

このお店には当時と変わらず働いている社員さんとパートさんが5人もいる。10年以上経っても知っている人がいるというのはなかなかないことだと思うし、知っている人がいるから会いに行きたくなる。

私の初めてのバイト先は、神戸駅の煉瓦倉庫レストランにあるオールドスパゲッティーファクトリー。店内はとても広く、この日案内してもらったテーブルはなんと、バイトの面接をしてもらった席だった。

大学1年生の私はアルバイト情報のフリーペーパーを手に、気になるところに丸をつけていくつか面接を受けて、いくつか落ちて、初めて面接したその日に採用していただいたのがこのお店だった。それがあまりに嬉しくて面接の光景は忘れられず、今でもその席を覚えていた。

当時面接してもらった店長にLINEしたらすぐに返信が来た。面接した席を覚えていることに驚かれたけど、初めてのバイトというのはすべてが新しい学びで、人生に大きく影響した期間と言えるくらい大きな経験だった。

上京するまで続けたのだけど、それだけ続けられたのは一緒に働く方たちが素敵だったからだと思う。みんな優しくて、時に厳しくて、たくさんのことを教えてくださった。

私の担当は食事の注文を受けたり、運んだり、料理を作ったりするのではなく、席に案内するのとアルコールを作るという役割だった。

ビールの注ぎ方やモスコミュールの作り方や、世界各地のビールの種類も店長が教えてくれた。

席の案内はベビーカーや子供連れの方が多いため、それを考えることと、それぞれのテーブルの担当者に均等にお客様が入るように考えるのと、初めてのバイトにしては頭を使うことが多かった。

そういうことが簡単にできる人もいると思うけど、私は席を待つお客様が増えるとちゃんと心臓がバクバクしたし、案内する場所をミスるとしっかり落ち込んで引きずっていた。

ピーク時間を過ぎた時は、私のいる入口の場所にCDデッキがあったため、好きなBGMを何度もリピートして楽しんでいた。

どれだけ仕事に慣れても自分が料理を運ばないから、運ばれていくスパゲッティーを見ては「あー美味しそーう!!!」と言って、それを食べられる賄いが本当に嬉しかったのを思い出す。

今はもうその役割別の担当制はなくなっている。みんなが席を案内して料理を運ぶ。当時はスカートだったけど、今は全員がパンツスタイル。

「そういえば、年末に服をたくさん断捨離した時にあの時のスカート捨てました!オーディションで履く時があるかなぁと思って置いてたけど履くことがなくて捨てました!あれがバイトの時に履いてたスカートってのを今思い出しました!」

と、今も変わらず働くパートさんたちに言った。その中の一人は当時の年齢が今の私と同い年だった。なんだか妙に感慨深かった。大学1年の時にお姉さんだと思っていた方が、私の今の年齢だなんて。

私は何も変わっていないし、ただただ好きなことをやっている。「こんなんでいいのか」という議題は向き合いすぎて、もはや考えなくなったけど、しっかり働いて生きていこうという気が引き締まる。

人生初めてバイトした場所に、当時働いてた方たちがいるというのは本当に貴重で、帰る場所を感じられて、初心も思い出せて、また元気に帰ってこようと思える。そんなバイト先に出会えたことに感謝だ。

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おさない えりか
読んでいただき、ありがとうございます! 子どもの頃の「発見の冒険」みたいなのを 文章の中だけは自由に大切にしたくて、 名前をひらがな表記にしました。 サポートしていただけると とっても励みになります。