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クライアントと接するなら、「コンサル思考」を

営業にしろ何にしろ、直接クライアントとやりとりをして、何らかの方法でクライアントの課題を解決する仕事をしている人は、ちょっと考えてみてほしい。

クライアントの抱える課題のうち、あなたが考えるのはどこからどこまでの範囲ですか?

僕としては、どんな課題であれ、クライアントから出てきたなら解決策を考えて提案するべきだと考えている。
これはきれい事でも何でもなくて、ましてや「クライアントから受け取る報酬以上のことをやれ」ということでもない。
その姿勢が、クライアントにとっても、自分の会社にとっても、自分自身にとってもプラスになるはずなのだ。

相談の幅が広がると、ソリューションを求められる

僕は、広告代理店でディレクターをやっている。

ディレクション業務はもちろんだが、クライアントからの相談や問い合わせを受けたらヒアリングに行って提案からクロージングまで行うので、半分は営業的な動きもしていることになる。

今の会社に入った頃は、基本的には広告物の制作の相談ばかりを受けていた。

○ホームページをリニューアルしたい。
○チラシやパンフレットを作ってほしい。
○冊子の広告枠に出稿したい。

少しずつ仕事の幅も広がって、取材・ライティング、動画の企画・制作、Webでの集客、新製品のプロモーション、オンラインイベントの開催と、色々な相談を受けるようになってきた。

その中でだんだん分かってきたのが、「自分の売っているものは広告ではなくソリューションなんだ」ということだった。

正確に言うと、「自社で扱っている広告にこだわって売るのではなくて、ソリューションを売るという意識でいなければならない」と思うようになってきたのだ。

提案の幅が狭いと、誰のためにもならない

例えば、僕の会社がやっているのは主にフリーペーパーの発刊とWebサイト制作、各種グラフィックデザインだ。
この範囲にこだわって売り上げを伸ばしていこうと思うと、どこかで無理が生じてくる。

例えば、クライアントから「ホームページがそろそろ古くなってきたからリニューアルしたい」と相談を受ける。

僕の会社では、オーダーメイドでWebサイトを制作したらだいたい40万円くらいからだが、10万円ちょっとでできるテンプレート型のWebサイトもある。
ここで、少しでも顧客単価を上げようと思うと、前者を、そしてできるだけ規模の大きなサイトを作ってもらうことを考えていかなければならない。

しかし、そのクライアントから話を聞く限り、ホームページは最低限の機能で、デザインもそこまでこだわる必要がなさそうだ。
しかし、Web制作のためにとってある予算が50万円あるとする。
チラシやパンフレットなど、紙ものの広告物はもう十分だし、フリーペーパーに出稿するような業種でもない。

こんなときに、自社内で提供できるものだけにこだわっていると、あれこれと理由をつけて50万円のサイトを提案するか、もしくは「じゃあとりあえず10万円のサイトだけ作りましょうか」となる。

「会社の営業ってそんなもん」なのかもしれないけれど、僕はどうしてもそれでいいとは思えない。

そもそもリニューアルしようと思った理由は何なのか? について、あるいはそこからさらにヒアリングして、議論することで、クライアントの抱える課題が見えてくる。

広告が足りないのか、ホームページが見にくいのか、はたまた商品のニーズ自体が落ちているのか、会社の組織体制に無理が生じているのか。

そこまで掘り下げて「じゃあホームページは10万円のテンプレートで十分だ」となったとして、たとえば「残りの予算で、組織体制を見直しをしてみませんか?」という提案ができたとしたらどうだろうか。

仮にそのまま提案が通ったなら、自社にノウハウがなくても、チームビルディングをやっているA社に振って紹介マージンを受け取る。
クライアントにとっても、自社にとっても、A社にとってもプラスになる話である。

課題にも、提案にも価値がある

クライアントからすれば、どんな相談に対しても何かしらの提案を出してくれる相手なら、当然ながら頼ろうという気にもなる。
(一定の成果を出していく必要はあるが)

できないことを「できる」というのはNGだし、見合わない相談にまで乗らないようにバランスを取る必要はあるものの、「これはうちでは解決できません」と突っぱねることが、すなわちチャンスを捨てていることと同義だという認識はもっておいたほうがいいだろう。

自社では解決できない課題だったとしても、その分野を専門にやっている会社からしたら大きな価値のある情報なのだ。

だから僕は、面白そうな商材を扱っている人や会社にはすごく興味が湧く。
あわよくば、「自分で売れないか?」と考える。
自分の売り物が増えるということは、クライアントへの提案の可能性が広がるということだ。

コンサル思考を意識しよう

こんな話を友人としていて、ああ、自分はコンサル気質なのかもしれない、と気づくに至った。

一応、僕の専門分野は広告やWeb、あるいはマーケティングだけれど、これから目指すべきはクリエイティブ分野を軸にしたコンサルタント、あるいは「解決屋」なのだろう。

よくよく考えてみれば、広告物の制作でもディレクターとしてラフを切ったりワイヤーフレームを書いたりはするものの、実制作はデザイナーやコーダーに依頼して成立している仕事である。
であれば、きちんとクライアントの課題を掘り起こして戦略を練ることさえできれば、仕事を振る先がデザイナーだろうがYouTuberだろうが八百屋だろうが同じことである。

クライアントと接する立場の人たち、そして特に、受けた案件を誰かに「振る」ことで成果を上げるスタイルの人たちは、「コンサル思考」を意識してみることをおすすめする。

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