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今オフ ヤクルトは誰を獲得すべきか
今オフにヤクルトスワローズが誰を獲得すべきかを考える以前に、現時点での支配下枠から考えたい。ドラフト会議と第2次戦力外通告が終了した時点で支配下枠は67(そのうち外国人枠6)。去年の同時期の支配下枠が63で、今季開幕時点でも戦力外選手3人を加えた66だったことから現時点ですでに多い。来年も外国人選手6人体制を維持するならば、3枠しか残っていない。今季は7月末の支配下登録期限の支配下枠が69で1枠余らせたことからも余程育成から支配下に昇格させたい選手がいない限り支配下枠は7月まで70の満枠にはしないし、育成からの昇格、外国人選手の緊急補強や捕手不足による緊急支配下登録の可能性を考えると来年の開幕時点で最低でも3枠は空けておく必要があるだろう。それなのに現時点で支配下枠が67なのだからFAおよび戦力外選手を獲得する余裕は全くないのだ。
石川柊太、茂木栄五郎獲得調査
そんな状況で石川柊太と茂木栄五郎の獲得調査が報道された。先発陣が脆弱な今のヤクルトにあって石川の獲得に乗り出すことは当然である。それに石川は補償の必要がないCランク選手かつ今季年俸1億2000万のため、獲得への障壁は少ない。おまけに石川は東京都出身でもある。
石川に対してはヤクルトの他、巨人やDeNA、さらにオリックスも獲得に興味を示しているが、これらの球団と争奪戦になった場合は条件的にヤクルトに勝ち目はないだろう。それに2020年以降で規定投球回に到達した年は一度、二桁勝利も最多勝を獲得した2020年の一度だけで通算防御率3.32の投手に対してヤクルトがソフトバンク以上の条件を出す理由もない。石川は常勝軍団ソフトバンクの先発にしては勝利数が少ないし、今季防御率は2.56だが神宮を本拠地にすれば防御率は確実に悪くなる。それを分かって石川がヤクルトを選ぶとは思えないし、もしヤクルトに来たとしても過度の期待は禁物だ。
一方の茂木は今季年俸こそ6000万だが、補償が必要なBランク選手である。ヤクルトの茂木に対する位置づけはあくまでも内野のバックアップ要員のようだが、チームで絶対的なレギュラーではないうえに補償が発生するBランク選手をバックアップ要員として獲得する必要を全く感じないし、出場機会を求めてFA移籍する選手に対してその扱いは外道だろう。それに茂木を獲得する気があったのならトレードでの獲得も可能だったはずだ。
ヤクルトは出場機会を求める茂木に対してセカンド山田哲人との左右併用や村上宗隆メジャー移籍後のサード固定を確約できるのか?かといって、茂木クラスの選手に対して出場機会を確約するのも違う。茂木の立場からすれば、出場機会が楽天と変わらなくても年俸アップと複数年契約が保証されるならヤクルト移籍のメリットはある。それに茂木も石川と同じく東京都出身だ。村上移籍後のサード確約も得られるのなら茂木にとっては最高の移籍になるだろう。
茂木を獲りにいくくらいなら思い切って村上の後釜として大山悠輔を獲りにいくほうがまだ納得できる。大山には村上移籍後のサードコンバートを確約して、1年だけ外野で我慢してもらえばいい。当然ヤクルトが巨人と阪神に条件面で勝てるわけもなく、ヤクルトが大山獲得に動くわけもないが…
筆者は茂木獲得の可能性は高いと見るが、現時点で支配下枠が67だから今後のために楽天には人的補償を選択して選手を獲ってもらう必要が生じる。そうでなければトレードで選手を放出しない限り、選手獲得と育成からの昇格に支障が出る。茂木獲得による人的補償で若手投手を獲られるのはともかく、西村瑠伊斗や北村恵吾といった有望な若手野手が獲られることは絶対にあってはならない。
ヤクルトが本当に獲るべき選手
獲得の必要性と現実性を考えると、ヤクルトが獲るべき一番手はDeNAの育成契約を断って戦力外となった石川達也だろう。今季登板15試合、防御率1.93で戦力外になった時には素行不良を疑われるほど、なぜ戦力外になったか分からない投手だ。石川は補強ポイントの左腕であり、制球難というほど制球は悪くない。年齢的にまだ若いし、巨人の獲得調査報道があったようにヤクルト以外で獲得に動く球団はあるはずだ。
もう1人獲得を考えるべき選手が広島から海外FA権を行使した九里亜蓮だ。九里の第1希望はメジャーだが、国内移籍の可能性もゼロではない。九里にとってヤクルト移籍のメリットは全くないが、ヤクルトにとってはイニングを食える先発であることはもちろん、魔境マツダを熟知している九里の獲得はメリットがある。何より広島の戦力を削げるのは大きい。九里の動向次第だが、本気で来年優勝したいのなら九里を獲るべきだし、茂木よりも九里に対しての補償を行うほうが有益だろう。
ここまでで何度も指摘しているように、現時点での支配下枠を考えると複数選手の獲得は現実的ではない。枠的に今年は石川達也のような戦力外選手の支配下での獲得は見送るだろう。そこで期待したいのが育成での獲得だ。
育成で獲得を考えるべき選手
ヤクルトは生え抜き投手の育成はとにかく下手だが、なぜか他球団から移籍した投手が活躍できる土壌がある。育成契約からも小澤怜史と近藤弘樹が1軍の戦力になったし、沼田翔平もヤクルトの生え抜き投手より可能性を示している。小澤と沼田のように他球団を25歳以下で戦力外になった元逸材(特に投手)ならば育成でも十分に獲る価値はある。筆者が獲得を考えてほしい選手は以下の通りだ。
巨人育成 笠島尚樹投手 トライアウト参加
広島 小林樹斗投手
楽天 清宮虎多朗投手 トライアウト参加
ソフトバンク育成 小林珠維野手 トライアウト参加
最速161キロ右腕の清宮は楽天が戦力外にしたことに驚いた。支配下での獲得を検討したいが、何しろ支配下枠に余裕がない。制球に難があるとはいえ、あれだけ速い球を投げられるのだから、どこか獲る球団があるだろう。
小林珠維はソフトバンクでは投打二刀流のようだが、今後は野手一本で考えたい。ソフトバンクでも評価が高いのは野手のようだし、野手一本に絞れば大成するかもしれない。
笠島と小林樹斗も高校時代から有名な投手だったし、2人ともまだ若い。樹斗はプロ初登板でヤクルト打線に打ち込まれていたが、可能性を感じる投球だったのを覚えている。樹斗は現役続行を希望しながらもトライアウトに参加していないから獲得のオファーが来ているのかもしれない。
※小林樹斗は広島と育成契約
笠島は育成でのプロ入りを悩んでいたところに「令和の大エースに」と説得されてプロ入りした経緯もあり、育てきれなかった巨人に代わってヤクルトで育ててほしい投手だ。育成選手が多い巨人と違ってヤクルトなら2軍戦に多く出られる。
ヤクルトは他球団から獲得した育成投手は2年以上面倒を見ているが、これらの選手も数年間の育成込みで獲得を検討してほしい。
筆者は来年全く優勝してほしいと思っていないからFA選手よりも若くして戦力外になった選手を育成で獲って再起の道を与えてほしい。ヤクルトが高卒投手と大型投手を育てられない残念な球団であっても他球団の元逸材たちに再起の道を与えてあげられる球団であってほしい。戦力外目前の中堅選手に出場機会を与えるくらいなら再起の可能性に期待したい。
※11月15日に前ソフトバンク育成の佐藤琢磨投手と、前楽天育成の澤野聖悠内野手の獲得調査が報道された。
拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。