症例紹介③ASDの男の子
今回も症例紹介ですみません!
ネタ切れなのでご容赦ください☠️
今回ご紹介する子は2年位前に初めての眼鏡を処方した今年11歳になる自閉症の男の子です。
自閉症スペクトラム(ASD)に関してはまた以前の記事をご参照下さい↓↓↓
検査のコツも書いてたりします↓↓↓
今回の来院理由は学校検診で引っかかったとの事です。左右共に裸眼Bとの判定でしたが、この子、2年前に処方した眼鏡がB)S-1.50Dの近視です。裸眼でBも出るか!?てのがまず最初の疑問でした。この子の親御さんもぼくに慣れてくれており、気軽に結果について聞ける環境にあったので率直に「裸眼で検診受けたんですか?」と聞いてみました。
そうすると家でもだいたい眼鏡をしてるので裸眼は考え難いとの答えでした。うちの地域だけかもしれませんが、割と学校検診の用紙、裸眼と矯正が間違えて記載されている事が多いです…当地域ではこの罠に引っかかっからないようにする事が大事になります😂
それ以上に大事な事がもう一点、学校検診の用紙には書かれています。
それは学年です!
今はあまり一目瞭然な名前にしない地域も増えているそうですが、当地域では一目瞭然で支援級と分かります。
つまり発達障害の特性が色濃く出ているのに問診に記載されていない子や、新患で情報が少ない子などが本当に障害のある子なのか、それが支援級に通学しているかどうかである程度判断できるのです。それでは検査結果を書いていきます!
<レフケラ>
レフケラは勿論ケラト切ってレフのみをマニュアルで撮ります。何となくしか撮らしてくれなかったですが凡そB)-2.50Dでcylは有るか無いかわからない程度でした。
<眼圧>
NCTは無理だと判断し行いませんでした。
ここで無理にやる意義もなく、また無理に行い機嫌を損ねるのは得策ではないので、必要があれば医師がアイケアでやると思い省略しました。(当院ではアイケアは診察室で医師が行います。)
<視力検査>
ランドルト環字ひとつでハンドルを使って行います。
まずはJBでの視力を確認したいのですが、何と当日、たまたま眼鏡を学校に忘れてきたとのことでした😱
なので検査枠にJB度数を組んで測ってみると両眼とも0.8は見えていました。やはり学校検診は矯正下で行ったのでしょう。
今回の検査結果は以下の通りです。
R)0.2(1.2×S-2.00)
L)0.15(1.2×S-2.00)
<眼位>
近見のみですがortho(ccにて)
SFTは理解困難でLANGⅡはall pass
EOMはfull様でした。
<眼鏡処方>
本人の自覚よりも学校検診の結果と教室での座席を元に考え完全屈折矯正値にて処方し直しました。JBからの差も0.50Dであり眼鏡自体に抵抗も無くなっている為、特に違和感等は見受けられませんでした。
<初診時の対応について…>
実は初めて来院されたのは2020.3の事でした。その際、問診票に自閉症がある為迷惑を掛けるかもしれないので申し訳ないとの記載がありました(申し訳なく思う必要は全く無いのですが…)。当時ぼく以外にもCOが在籍しており、その方がカルテを取ったので詳しい状況は不明ですがカルテに「自閉症の為検査不能」というコメントが残っていました。主訴も花粉症との事だったので無理に検査する必要も無かったのでしょう。診察でもカルテに「視力は困難か?」とのコメントがあったので本当に暴れたのかもしれません…
<転機>
それからは何かあれば検査無しの診察のみで数回来院されていました。不謹慎な言い方ですが、ついに2022.10月、学校検診で引っかかって検査するチャンスに恵まれました!
「検査不能」とのコメントを見ると皆さん燃えますよね!?
その日はハンディレフを元にした他覚値で先の度数の眼鏡処方となったのですが、この時の事はよく覚えています。
何せ常同行動が激しく、天井のライトに向かって手のひらを目の前にヒラヒラさせまくっていたので💦
また、突然の大声なんかもありました。
実はこの子が初めて自閉症の子をマトモに検査した最初の子でもありました。
その時は暴れる様な事もなく比較的スムーズに眼鏡処方まで行えたのと、少しは発達障害に関する知識もあったため保護者の方に大変感謝されました。本人も最初は眼鏡を外そうとしていましたが、念の為10分くらい装用感を確かめる時間を作ると見え方が気に入ったのか、今度は外すのを嫌がっていました🤣
その後も来院されればぼく指名で検査をする事になったのですが、来院毎に落ち着いてきている様にも思えました。単に慣れただけかもしれませんが…
何にせよ慣れてくれて保護者の方の信頼感を勝ち取る事ができたのは大きいです。
<まとめ>
今回は自閉症の子の検査についての症例紹介として書いてみました。
自閉症をはじめ
発達障害の子の検査は初診がとても重要です。
初めから諦めて何もしないのではく、少しでも良い印象を持ってもらい、眼科は決して怖くも痛くも無い場所だと思ってもらう事が大事だと思っています。何もしなければ今回の様に数年放置って事も有り得ます。
そうしない為にも、ぼくのこれまでの記事でほんの少しでも発達障害に関しての知識が入って頂けていたならば光栄です。
保護者の方々も発達障害に関して何がしかの理解のある施設を選んでくれます。
現にぼくの常勤先のクリニックでは発達障害の子どもを何名も抱えています。中にはわざわざ車で片道1時間近く掛けて来てくれている子もいます。本人や保護者の方の負担も大きいでしょうが、近場で障害のある子をまともに診てくれるクリニックが無いと仰っています。恐らく「検査不能」でそのままなのでしょう。
具体的な検査のコツは以前の記事にありますが、こればかりは経験値とその子のキャラクターに拠る部分も多いため一概に言えません。ですが、まずは発達障害を恐れず、知る所から初めてみませんか?そして
その知識が必ず施設にとって無くてなならない人材として認めてもらえるはずです。
今回も終始自慢話でしたが、それ程までに障害に理解のある視能訓練士は少ないのだと感じています。少なくともぼくの勤務先の含まれる地域の発達センターには眼科が入っていないので、困っている家庭は多い様です。
当地域では秋にも学校検診があります。皆さんの地域には秋にもあるかは分かりませんが、もしその時、支援級の子が来た際には今回のエピソードを思い出して頂ければ嬉しいです。
ではまた👻