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『鈍色の絨毯を織る』

下じきになってしまった人のため
泣きうたい 鈍色の絨毯を織る
そのこころ 窓に映る今は鋭いイチョウの樹
そのうた かつて母が読み聞かせてくれた絵本

鉛のように冷ややかで ささくれたったこの床に
絨毯を敷き 膝を抱えた


飄々と海風が吹き抜ける
ーー黄緑色の原風景が
頭の中で 巻きあがる


その絨毯を売る

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