近藤正朗 / Masao Kondo

医療法人オレンジの人類学者/早稲田大学/JAIST/福井県立大学

近藤正朗 / Masao Kondo

医療法人オレンジの人類学者/早稲田大学/JAIST/福井県立大学

最近の記事

  • 固定された記事

文化人類学専攻で理系出身の私が医療法人で挑戦を選んだ理由

はじめまして。 2021年に医療法人オレンジグループに入社しました、研究戦略セクションの近藤と申します。 「オレンジにそんなセクションあったの?」とよく聞かれます。 あります。私が作りました。 今回はそんなよくわからない肩書き、矛盾ばかりのタイトルについてたっぷり語らせていただきます。 いつも自己紹介をする時、何をどこから話そうかめちゃくちゃ考えています。そのくらい伝えたいことが多いのですが、普段ほとんど伝えられないので思い切ってnoteに書き出してみようと決めまし

    • 老いはどのように進むのか?82歳の祖母と見つめた時間の流れ

      実家で、82歳の祖母としゃべった。 何年も通っていた体操教室が参加者の高齢化のため、なくなってしまったと嘆いていた。 「どうやら、80が境目みたい」 80歳を越えると、見事に体が悪くなってきた。 朝起きて、着替えて、洗濯して、ご飯食べて、お風呂入って  日常生活でで精一杯になってきた。 友達たちも入院したり、免許返納しはじめてるそう。 最近までは、行き慣れた場所へは自分で運転していた。認知症ではまったくないけど、たまに運転中にめまいがする時があるから、自動車免許

      • サービスとは何か。サービスサイエンス#3

        この記事では、サービスは複雑で曖昧だということをテーマに良いサービスとは何かを考えていきます。 サービスとは、もの売りとは異なり「作って」、「売って」、で終わりではありません。 誰か?何か?に、何かをやってもらい、それに対し対価を払うのがサービスである。どんな「便益」のためにサービスを利用するのか?その「便益」を実現するために、どんなものを買い、どう活用するのか、を考えていかなければならない。 良いサービスを作れば売れる??良い「もの」さえ作れば売れていった時代があった

        • 無料よりも良いサービスなんてあるのか?サービスサイエンス#2

          「サービスサイエンス」シリーズ第2弾  前回の記事では、  世の中の経済活動が「ものづくり」から、サービス(コトづくり)へ変化していった時代の流れを踏まえ、、全ての取引をサービスとして捉え、受け手がその価値を感じて初めてサービス(製品も)を購入しようとする、サービス・ドミナント・ロジック(Service-Dominant-Logic/SDL)を紹介しました。 この記事では、 について考えていきます。 ・サービスが増えたことで、どのような変化が起きたのか?☆業務用コピ

        • 固定された記事

        文化人類学専攻で理系出身の私が医療法人で挑戦を選んだ理由

          ひとは何にお金を払っているのか?サービスサイエンス#1

           2024年4月から福井県立大学院の社会福祉学科へ入学し、社会福祉を学び始めました。社会福祉の仕組みや制度、歴史をよくわからないままオレンジで働いてきたので、「社会福祉・医療人類学」の学びは、現場に直結していて、いつも講義は前のめりの姿勢でいます。振り返ると8年前に大学に入学してから、目まぐるしく変化していました笑  2016:化学を学ぶ→2019:人類学に出会う →2021:医療法人オレンジへ入職→2022:知識科学・人類学を学ぶ@JAIST →2024:社会福祉・医療人

          ひとは何にお金を払っているのか?サービスサイエンス#1

          【読書メモ】線『生きていること』#4

          インゴルドは、生のプロセスとしての進化(と生産)という見方を「創造性と持続」という考えと結びつけようとした。 ホワイトヘッド:世界は完了したものではなく、絶えずそれ自体を超えていくものである。創造性はそんな運動である。 ベルクリン:生を発展という創造の運動に時間の本質がある。何かが生きているところには、どこかで時間が記入される帳簿が開かれている。 生は進行し続け、その中で向かう先の地点は無限に乗り越えられていく (受験や興味あることもそう。あの山登ろう!登った後には次

          【読書メモ】線『生きていること』#4

          【読書メモ】住まうこと『生きていること』#3

          今回の記事では、「住まうこと」と「建てること」の違いを整理して、「建てるということ」を捉え直そうという内容である。 まず、インゴルドは ・建てること=建てられた形に先立つデザインの結果的な表れである。 ・住まうこと=生きていることと同じく進行中であり、単に建てられた構造物を占拠するのではない。生きた世界の流れに浸ることである。それなしでは、建てることも占拠することもできない。 建てることは住まうための手段ではない。住まうことは建てることが具現する目的ではない。建てるこ

          【読書メモ】住まうこと『生きていること』#3

          【読書メモ】歴史とは『生きていること』#2

          前回の記事では、「生産」という行為について、 生産のプロセスに焦点を当てることで、 動物も人間も実際には変わりはないことをやっているということが書かれていたという記事を書きました。 今回は、インゴルドの「歴史」についての考察をまとめていきます。 2つの歴史モーリス・ゴドリエは、【動物の歴史】と【人間の歴史】を分けて考えていた。動物の歴史(history)は、動物たち側の意図的活動によって生じたものではない。系統の流れを下るとき、生殖活動の結果生じた偶然の変異と遺伝物質の組

          【読書メモ】歴史とは『生きていること』#2

          【読書メモ】生産とは『生きていること』#1

          前回↓に引き続き、ティムインゴルドの著作『生きていること』の読書メモを綴っていきます。 人間がやることと-動物がやることは何が違うのか?をきっかけに「生産」を考えるようになったという。 人間にしか「生産」はできない??「生産」とは何か?フリードリヒ・エンゲルスは 「人間はあらかじめ建てられた計画・目標に起因して動く」と記した。 つまり、目的志向性を持ち、常に自分が何をしているか、なぜやっているのかを考えている。 よって人間の行為は「生産」していることになる。 動物は

          【読書メモ】生産とは『生きていること』#1

          【読書メモ】人類学を生きかえらせる『生きていること』#0

          この記事では、人類学者のティム・インゴルドが考える「生きていること」とはどういうことか。についてアイデアが詰まった↓の本の読書録を作成しながら、思ったことを綴っていきます。 僕の現在の人類学観は↓の記事で記述しました。 ちなみに、 こちらの記事もインゴルドの『ラインズ 線の文化史』という著作を参考にしました。 ティム・インゴルドの著作は、これからの人類学を切り開いていくような内容が多く散りばめられています。実際読んでみると、まるでポエムのような、哲学のような内容もありま

          【読書メモ】人類学を生きかえらせる『生きていること』#0

          【ものの人類学】植物は生きているのか?

           前回の記事では、植物や庭いじりをきっかけに集まるコミュニティ、庭くらぶについて紹介をしました。  庭くらぶとは、福井市のつながるベースという複合施設(クリニック・カフェ・ジム)の庭スペースを拠点に、苗を植えたり、雑草をとったり、おしゃべりしたり、ゆるく活動している集まりです。植物の扱い方を全く知らない私たち素人で立ち上げ、植物の育て方や土壌、などなどを、まちの人にに教えていただきながら、ときには植物をお裾分けしていただいたこともありました。  庭くらぶは誰でも、どんな関わ

          【ものの人類学】植物は生きているのか?

          手書きの文字でしか伝わらないこと.

          つながるベースでは毎月イベントのお知らせを投稿しているが、その裏面にはスタッフの手書きで作られたつながる新聞を毎月発行している。 なぜ手書きにこだわるのか?手書きという文字が持つ力について考えてみようという記事である。 手書き、大人になるにつれペンを手にすることすらなくなってきている。 手で書くという機会も日常的には郵便配達のサインくらいのものではないか。 手で書かれたものをふと目にしたときのなんとなく感じる温かみのようなものって一体なんなのか?を探っていきます。 突

          手書きの文字でしか伝わらないこと.

          植物・庭いじり好きの集まりー庭くらぶ論①ー

          庭くらぶとは? 植物・庭いじりがちょっと気になる人たちが集まって、植物を植えたり、土を運んだり、雑草をとったり、お茶会したり、するサークルのような集まりです。毎月一回は定期的に開催しています。 〜始めたきっかけ〜 庭くらぶをメインで動かしているメンバーは、 「季節の花や野菜を育てながら、葛藤しながら日々の成長と関わりたいなと思い描いていたことが、この度進み始めました。」 私も最初から関わっており、 つながるベースの隙間を華やかなものにしたいという気軽な気持ちで関わり初め

          植物・庭いじり好きの集まりー庭くらぶ論①ー

          僕にとって人類学のこれまでと現在地

          人類学との出会いは、今から5年前の大学3年の時でした。 過去の自己紹介の記事でも書きましたが、私は大学に理工学部の応用化学を専攻して入学しました。 3年生の時、人の死、終末期医療、に関心を持ち、人類学が気になるようになり、ついには人類学のゼミに所属することになりました。大学を卒業し、もっと文化人類学を深めたい、研究と現場をつなぐ人になりたいという思いから、 福井県の医療法人オレンジに新卒で就職しました。 現場に出る傍ら、人類学・文化人類学を学ぶべく、独学でわからないな

          僕にとって人類学のこれまでと現在地

          ぎりぎりz世代の僕が思う学校健診って

          学校健診って、かつての自分にとってどんな時間だっただろうか思いを馳せてみる 学校で、身長、体重、心電図、レントゲン、視力、聴力、・・・を測定する機会が学校健診だと認識している。 そこでは、「自分の体を数値や画像データをもとに知ることができる」のである。 特に、そこでの関心は、「異常がないか」ではないか。 ちょっとした体の悩みや心配事の相談を元気なうちにできる場でもあったが、 健康かどうか(虐待をされていないか)、どこか異常があるかないかを知る機会だった思う。 ちな

          ぎりぎりz世代の僕が思う学校健診って

          鳥の目になって見える世界

          2023年、 医療法人で働く研究者として、社会人として3年目を迎えようとしています。 昨年は ・大学院入学 ・学会発表デビュー ・新しい拠点の立ち上げ ・・・etc. 生活スタイルが目まぐるしく変化し、始めての経験、業務に取り組んできました。 また、noteでは現場での気づきをもとに書籍や学術領域での思考を絡めた内容を発信してきました。 来年度からは修士2年になります。 学術領域で言及されている理論や先行研究のインプットをもとに、 職場での実践、気づきを加えて発信、

          鳥の目になって見える世界