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山下敦弘監督作「カラオケ行こ!」を見てきた。

紅だああああああああああああああああああああああああ(デデー)

新年一発目の映画

この漫画が実写化するにあたって、かなりテンションが上がった記憶だけは鮮明にあります。映画館で嘘やろ…なんて在り来りな反応で、好きな漫画が実写化する。しかも自分の中で俳優として大好きな綾野剛さんが主演なんて、嘘…嘘や!みたいな受け入れ難いみたいな反応。

元々和山やま先生の漫画に関しては、最初は女の園の星と言う漫画から知ったんですよね。このマンガがすごい!賞だったか…何か目について、ミーハーな自分は漫画を購入した覚えがありまして。嫌味抜きでの凄いその筋ではthe有名みたいな先生みたいな情報だけは、タイトルを調べた時に出てきたのでどんな漫画なんだろうか?と興味津々で読むと、日常を兎に角擽る感覚で描いて笑ってしまうそんな作品だったんです。直ぐにその延長線で購入したのがこのカラオケ行こ!と言うシンプルなタイトルから、想像つかない中身で、きっとこの先生からは逃れられないんだろうなと思える程に自分には刺さったそんな作品です。

改めて見てもこのビジュアル良すぎねえか。

ざっくりと話せば、カラオケ行こ!なんてキャッチーな誘い文句のタイトルから描かれるのは、ヤクザと中学生が二人一緒に歌の練習をする…そんな在り来りじゃない話。
設定から尖っていると言うのは分かるんですが、この漫画の奥が深い所が交わらない二人が何気ない事で、相互理解を深めていくって言うのが肝で。元々何かBLチックな売り方もされていたイメージがあったんですけど。あらすじの通り、どんな事があっても自分の為に歌を上手くなりたいヤクザと褒められた歌、声と言うアイデンティティが自分の中で無くなっている自覚を持ったり葛藤したりもする中学生との絡みが良いんですよね。作中の中学生の岡聡実に焦点は当てられているんですが、作中に出てくるヤクザの成田狂児と一緒に居ない時だけは、漫画上だと兎に角…角ばった白い四角の中に心理描写が多く、様々な葛藤を沸々とさせているんですが、狂児と居る時だけはただ喋らないけれど、何もかも忘れて一緒に居るのを楽しめているのか、二人だけで二人の空間を邪魔しない描写だけで、毒づくし生意気な子供らしい反応を見せながらも、思春期らしい葛藤を何処かに置いていけている様な所とかまぁ~~~~~~素敵なんですよ。全人類読んだ方が良い。

よろぴく。

今回この実写映画化されたカラオケ行こ!に関しては、原作を忠実になぞりながら、原作では補えていない所をしっかり可視化してるって言うのが、また自分みたいなこの作品の1ファンとしてぐっと来る作品でして。本当に昨今の偉そうな実写化批判には、絶対ぐうの音も出ないであろうと原作ファンが胸張って言えるぐらいにはとても良かった。

人からしたら要らない要素みたいな物が、監督と脚本家の力によってとても良すぎて喰らったんですよ。見ていて、上記画像の名刺を差し出してよろぴくとかのシーンなんてシンプルながらも滅茶苦茶良かったですし、綾野剛演じる狂児の汚い裏声の紅とか齋藤潤演じる聡実のヤクザに囲まれて、毒づいた事の反省をするシーンと狂児に表情も込みで抱きつくシーン。それぞれの作品に対しての理解度深すぎて、現実的では無い設定ながらも非現実では無い世界だからこそ、作品に関して造詣を深めたんだろうなとか。
改めて色々と画像等も探しながら調べたら、コタキ兄弟と四苦八苦の監督さんだし、アンナチュラルとMIU404の野木亜紀子さんがやってるとか言う事実も知って、そりゃ最後の紅の挿入シーンとかも美しいなとか今書きながら納得してる。なんでチャンス大城の汚いLemonを許したのか?だけは小一時間詰めてみたいけれど。

このシーンの実写ほんと好き。

数えきれないぐらいのオリジナル要素なんて言えば、聞こえは実写映画化に限っては悪いんだろうなって言うのはあるんだけれど、合唱部に関しての描写や謎な映画部、汚いキティちゃんとセットのLemon、カスだし声もカッスカスな白日等のオリジナル要素も強めながらも違和感が無くて。

オリジナル要素が面白かったし、作品において違和感が無いって言う素晴らしさを伝えたいんだけど、改めてネタバレにならない程度に触れると、実写映画化した上での肝って、愛情のベクトルが非常に良かったんですよね。

漫画と違う…漫画の欠点では無いけれど、やっぱり人が魂を吹き込むからこその感情の乗り方が素晴らしかったんだろうなって言う補正も勿論あるんですけれど。元々恋愛映画とかちょっとした愛情等の描写って凄い好きな人間なんで、2つ上の画像のシーンも実写化だからこそあるんですけど。このシーンに至る過程がとても良かった。少し泣きそうになったぐらい良かったんですよ。

中学生からしたら、よくしてくれる大人=憧れみたいな物もあったと思うんですけど、そういう節を感じさせない様な感情の吐露の仕方が中々にクるんですよね。一回しか見てませんし、演じた本人でもないし作った本人でも無いんで、憶測でしか無いですけれど。結局の所、子供扱いに憤慨したけれど、合唱部って言う居ても居なくても良いし居辛い環境で楽しんでるみたいな所を弄られるのも、そういう場より優先した楽しくて頼りになって相手に言われた事も嫌だったりしたんだろうなとか、そういう無限の解釈が出来る様なシーンを入れたのがまた。聡くて実り甲斐がある素直な子だからこそ、罵詈雑言をぶつけた後に生真面目にお守り渡そうとするシーンのワンセットも込みで、感情揺さぶってくる感じが堪らない。

色々と思い返せば、一つ一つ隅の隅迄本当に良かったんですよ。
割と語りきれないぐらい、見切れて居ないんじゃないかって思うぐらい隅の隅まで。

何度思い返しても味がするし、俺の今回の映画において大脳を9割持っていかれたチャンス大城のLemon、ヒコロヒーおかんや狂児…セーフか…みたいなやり取り、俺は綾野剛の無慈悲に殴りつけるあの表情と顔は好きやねんなとか思い返したし、まんじゅうこわいのやり取りをした上で、エンドロール後に流れるムービーの良さ。「あ、久し振りに会わなかったからこうなったんだ」みたいな笑いと「それをまた彫れぇ!」みたいな心の中の千鳥ノブが拮抗するぐらい〆迄良かったかな。

新年一発目、見たい映画が既に羅列してるわで結構悩んでたんだけど、新年から嫌な事も多いし、明るくなれる映画かなって個人的には思えた。次はゴールデンカムイ実写化かなぁ!実写化ばっかり見てるなぁ!

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