藤井道人監督作品【THE PARADE】を見た。
人間誰しも、何か未練があるからこそ素敵なんだなとも思った。
Netflix独占配信映画、THE PARADEを見終えました。あまりいい環境では無いながらも、手持ち無沙汰と言うか…暇を持て余す時間帯に見たい欲がどうしても勝りまして。本日鑑賞したんですが、改めて藤井道人監督嫌な所映すなぁ~(にっこり)みたいな感情とやっぱり人間の微かに綺麗な所を大きく照らしてくれる監督さんだなぁと思いました。
藤井道人監督を知った作品は、新聞記者でした。松坂桃李が演じる憔悴しきった感じから、全て顔が良い!なんて言う友人の勧めから見た映画でして。政治的思想は左寄りながらも…良くも悪くも全体的に【左派はこうして、不正は許さないスタンス】みたいな…悪を断ずるスタンスが鼻につく態度があるんじゃないか?とは思って居たんですけれど…正直そんな事は無く。何というかあの映画自体は、ネトウヨと呼ばれる類の人達からすれば…ある事ない事みたいな感じですけれど。確かめようがない事実とかは過大に悲観的に書く事もなく、その人なりの葛藤の一つ一つを丁寧に描いていた作品で、面白いとかってよりかは…雰囲気を楽しむ映画だなと。
何処かのタイミングで少し書いたんですが、そういう面を自分自身は知ってから、ヤクザと家族から余命10年、ヴィレッジ、最後まで行く、インフォーマと続いて僕自身は映画を楽しませて頂いておりまして。ヴィレッジ以外は劇場でしっかり鑑賞させて頂いて、その上で今回Netflix限定作品として公開されたのが【THE PARADE】
長澤まさみが主演、その他の俳優さん達も坂口健太郎、横浜流星、リリー・フランキー、寺島しのぶ、舘ひろしと名だたる藤井道人作品でも見る俳優さん達の豪華過ぎる映画となっておりまして。…結構鬱屈とした表現もあって、「嗚呼、本当に俺はこの監督が好きなんだな」と言う実感と死に対して迄のやり遺しが無い事を心に決めようとも思ったり、ただ心が温まったそんな作品。
今作における世界観は、今迄にあった現実的でどうしようもない事実がある世界と言うよりかは、少しだけ幻想的なんですよね。死んだ人達が何かをやり遺した事があると行き着く世界で、地震に巻き込まれた長澤まさみが演じる美奈子は我が子を探したいと願うが為にその世界に行き着いてから始まるストーリーでして。
正直、別に地震を忘れろよとは言わないんですが…最初のイメージは【今作も災害を取り扱うのか…】って言った感じの何処か辟易とした所。ここだけ切り抜かなくても考え方として、地震大国日本で忘れろって言うのか!みたいな思考になると思うんですけど…やっぱり忘れてはいけない、だけど作品として此れを取り扱う前提って結構目についてしまっているのも、また事実だと思うんですよね。胸に秘めておく事が復興への意識なのか?お涙頂戴として使うのはどうなんだろうとは内心あったんですけれども。
やっぱりそう思ってしまっても、何処か今作は理不尽な死と後悔と自責に焦点を当てているからこそ、改めて良かったなと感じました。
その中でヤクザと言う男らしさ溢れるのに未練がある横浜流星が演じる勝利や、自分だって未練があるのが分かっているのに人に只管温かいスナックのママの様な寺島しのぶさんが演じるかおり、何処か胡散臭くて適当に緩やかに生きているひょうきんなおじさんのリリー・フランキーが演じるマイケル。
その中ある程度登場人物の中で、個人的に好きでもあるし…ざっくりとした紹介文だけでも、何でこういう人達なのに現世に未練があるんだろうって何処か感じないかなって思いませんか。藤井道人監督が演じさせた主要なキャラクター達って、表面上だと死に納得をしそうだし、未練だとかなさそうな人を出してるのにとても人間臭くて凄く刺さった要素の一つなんですよね。
ギャップ萌えに近しいんですかね。少し公開したばかりなのに中身を書かせて貰いますが…ヤクザの勝利なんて、7年も世界に縋る程に自分が父親の為に盾になって死んだのに、自分が遺した女が幸せなのかどうかが気になって世界に居続ける訳ですから。やっぱり人間って死に際なんてやり遺した事が幾らでもあると言わんばかりに、後悔を赤裸々に綴る。
その上で今作の世界観として、一応死後の世界と綴られる場所は全世界に似たような場所があるらしく、登場人物達だけが後悔してる訳じゃないんですよね。まだまだ無数に居るであろうって言う仮定もある世界がとても悲しい設定。だけど…その世界の中の住人達は、誰か会いたい人が居る為に残っている人の為に、また周りが誰かが会える様に手助けを新月の日にすると言うのもあるらしく、これまた憎いストーリー上ての展開があるんですよ。設定も結局人間の本質をヤクザと家族で、最後に散々なエゴを描いた癖して、人間の美徳である様な助け合いや誰かの為にって言う優しさを描く。
散々あんな事描いた癖してよぉ!なんて言うつもりは無くて、何処かこれまた監督の作品、事実に基づいた作品の余命10年で感じた所があったのかな?なんて推察してしまいました。監督自身、元々新聞記者を作る前から政治には関心が無くてと仰っていて、影響されている所も多いみたいな話も見た記憶があるので、何処か自分が成した作品の上で出来上がった作品だと思いました。
死んでもなお、人は誰かの為に成る事は素晴らしい上に、生きれると言う肯定もしてくれる様なそんな作品。だけど死を選択した時に生まれる後悔もまた描いていて、これまた見て欲しいとは思う。
監督ファンからしたら、ヤクザと家族、ヴィレッジと続いてお涙頂戴か~って思うかも知れないけど、長澤まさみのマザー以来のあのヒス丸出しの演技とか結構ね、あのー…思う節があると思えるから。監督のファンも一回見た方が良いよ、俺はうわキツってなったね。本当にああ言う光景はキッツい。エゴ丸出しで子供に接していたのに、子供の無垢に甘えての親のエゴで生き残ってる主人公とか嫌気が差すよ。それでも、親って言うのを全面に出す感じとか結構来るし、監督特有のじっとりとした何かは俺はあってよかった。本当に満足してる。