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#7 映画の感想!2023年7月

こんにちは!おりんです。
今回は、7月に観た映画の感想をつらつらと書いていきます。7月は「1秒先の彼」と「逃げきれた夢」の2本。先行上映で「658km、陽子の旅」も観ていますが、こちらは次の回で書きます。
⚠ネタバレを含みます!触れたくない方は閲覧をおすすめしません。


①1秒先の彼

ポスタービジュアルが
ポップで可愛い。

Filmarksで付けた評価⇒★3.2

イマイチ乗れなかったなー。台湾版もハマれた訳じゃないけど。SF描写を中途半端に入れてしまったのと、ハジメが感じ悪くてあんまり共感出来なかったのと、要所のアレンジが後味悪かったのが大きい。

台湾版の話交えると、シャオチーの純粋さが良かったのに、ハジメは拗らせがあってイマイチ。常識を逸した言動や態度も見られたし。一方、レイカは逆にグアタイの常識を逸した行動が緩和されて受け入れやすかった。レイカが桜子に本音ぶつけるシーン良かった(ただ盗撮はだめ)。

あと、荒川良々の運転手良き。不器用なりに優しさが感じられたし、バスの展開にリアリティができた。ハジメが惚れた女性をシンガーソングライターに設定したのも〇。桜子のキャラ付けにもなるほど。

クドカンの脚本は癖強めの展開が印象に残りやすいけど、今作はピュアな描写の中にある癖強さが浮いているように感じた。 設定が京都なのもよく分からなかったし、SF描写が台湾版よりも中途半端なところから入ったのがなんとも…

思ってたよりハマれず、手応えがいまいちでした。これは、事前に台湾版を観てたのも大きいですね…。

⚠ここから、台湾版のネタバレも踏まえて話します
↓↓↓

この作品、台湾版も日本版も「実は1日が止まっていた」という設定です。ただ日本版は、1日が止まったことを匂わせるかのような展開があって中途半端さを感じましたね。台湾版のように1日飛ばしてその後種明かしじゃダメだったのか。しかも、ワンテンポ早い点とワンテンポ遅い点が関係している設定(台湾版はこの設定)で十分なものを、日本版は名字の画数の少なさ多さも関係しているという展開でした。この展開は正直ゴタゴタしたかなと。

ハマれなかった理由は、キャラクターの描き方にもあります。台湾版と比較すると良い点もあったけど、全体的にバランスがよくなかったですね。 

ハジメに関しては、だいぶ拗らせ気味な性格で、態度や言動が常識を逸していて、チャーミングさをあまり感じられず。台湾版のシャオチーは、まだ常識の範囲内でマイペースで愛嬌があったので可愛らしかったのですが…。一方、レイカは台湾版のグアタイのストーカー要素が薄まって、控えめだけど想いを寄せる姿が印象的でした。ただ、グアタイより積極性が見えなかったのは惜しいですね。ハジメが惚れた女性・桜子との対峙はとても良かったです。

とはいえ、ハジメに全く好感を持てないこと・レイカに積極性が感じられないことから、2人の想いの交差をいまいち感じられず。性別逆にしなくても、台湾版のストーカー要素がなければもっとロマンチックに描けるのではないかと思いました。岡田将生も清原果耶も感情を引き出すお芝居は上手いのに、キャラのバランス感が…。

台湾版も日本版もそれぞれ好きな点はありますが、キャラ付けと自然なSF要素の導入から、自分は台湾版の方が好きですね。ちなみに、台湾版の感想も書いたので載せておきます。

◎1秒先の彼女(原題:消失的情人節)
Filmarksで付けた評価⇒★3.4

ワンテンポ遅い彼がストーカーになり兼ねないのには共感できなかったけど、SF描写への持っていき方がナチュラルでロマンチックに感じた作品だったな。

リー・ペイユーが演じるシャオチーがほんと魅力的だった。飾らないけど、愛嬌があってほんと可愛かった。シャオチーの芯の強さや真っ直ぐさは生きる上で共感できる部分も多くて大好き。

グアタイは、リウ・グァンティンの自然かつ柔らかくて繊細なお芝居でチャーミングなキャラ付けになっていたかもしれないけど、ストーカーになり兼ねなかったり、行動が常識を逸していたりと危うさを感じてしまった。正直かなり怖い。

ただ、1日がなくなっていた!?理由が分かる展開への持っていき方と、それぞれの経緯や想いが交差するシーンが自然だったのは好印象。不思議とロマンチックに感じる。ここは結構面白かった。

最後の方は展開が読めたけど、シャオチーの好感度が高かったのも定まってちょっと感動したな。ヒロインに共感し、ワンテンポ遅い彼に危うさを感じ、SF展開の持っていき方に唸り、ロマンチックに感じるという…なんとも不思議な映画でしたね。あと、とにかく劇伴がめちゃくちゃ良い。癒される。

②逃げきれた夢

光石研さん、坂井真紀さんほか
出演者のインタビュー記事がありました。

Filmarksで付けた評価⇒★4.4

なんか…凄く胸がきゅっとなって切なくなった。バックボーンが描かれなくても、情けなさが見えることでいかに寄り添おうとしなかったか伝わってくる。

光石研はトータル的に見るとほんと情けないんだけど、「今のままじゃ…」と気づいて喪失感が大きくなっていくのがなぜか切なかった。自分が人に寄り添おうとしなかった結果、何も残らなくなるのはつらいな…。でも、最後の台詞で「今自分が生きたいように生きて欲しい」と感じました。

由真と彰子さん。この2人の態度からして、周平さんはよっぽど2人に寄り添おうとしなかったのだろう。もう周平さんに何も望んでないし、何も求めようとしない。由真と彰子さんに要求や希望がないのも苦しい。工藤遥と坂井真紀の物語る表情がとにかく辛かったです。2人に希望が訪れますように。

平賀さん。様々なことを抱えながら生きてきたのだろう。安定しない生活、光のない眼差し。周平さんと話している時、自分の人生にも周平さんにも呆れていて…胸が苦しかった。時々泣きそうになりそうな表情が絶妙に辛くて泣いた。吉本実憂の繊細な表情と語りにずっと惹き込まれてました。

長年働いても、家族や周りの人に目を向けないと何も残らないまま人生が過ぎてしまうんだなと。悔いなく人と関わろうと強く思いました。対話や画のナチュラルさも良かったです。

人生の中での後悔や喪失が描かれる作品好きです。主人公が情けなく、かつ周囲の人の呆れっぷりによって主人公のバックボーンも感じられて、「ああ、1人の人間の人生を描いているなぁ…」と思いました。

1人の人間を、作品の中で描いていくことによって気づかされることってあるんですよね。光石研演じる周平さんは、家族に寄り添ったり何かに挑戦したりすることが今までなかったんです。それで、何も残らなくなると思うと「周りの人との繋がりをもっと大事にしよう」「若いうちに挑戦したいことに向き合おう」と思いますね。

周平さんの周りの人の反応も印象的でしたね。
娘の由真と妻の彰子さんは、今まで寄り添わず仕事だけしていた周平さんに呆れて、もう何も望まず求めることもしなくなったのでしょう。今になって、周平さんが家族に寄り添おうとしても「もう遅い」「なぜ今更」と思いますよね…これは。

平賀さんも学生時代は周平さんの言葉に救われていた部分はあったものの、情けないかつ話もつまらない周平さんを見て呆れていたのでしょう。しかも、平賀さん自身もどうにもできないから自分にも呆れている様子で。仕事しながら生活したいのに、上手くいかない。自分では何もできない。その姿を見て、胸が痛くなるくらい辛かったです。
(この役を、大好きな吉本実憂ちゃんで観れて良かったな…。表情の繊細な変化に魅入った。もっともっと色んな作品で観たい役者です。)

でも、自分がどう見えているか周平さん自身が分かってからは、少しでも人に寄り添おうと、現実を受け止めようと、したいことに向き合おうと思えたのではと感じましたね。周平さんは、ラストで少し変わった気がする。自分はそう見えました。

次回は、先行上映で観た「658km、陽子の旅」の話をします。思うところはあれど、凄く心に残った作品です。

以上、第7回の投稿でした。最後まで観てくださり、ありがとうございました!

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