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息子。ホテルな病院へ行く。

冬の寒さがそろりそろりと近づいている。
足音も立てず、まるで忍びのように迫り来るので、寒さが苦手なこちらとしてはたまったもんじゃない。
ふと山へ目を向けると、ところどころ白く色づき、ますます冬を感じる風景を目にした私は、思わず着ているジャケットに顔をうずめてしまった。

来週はもっと寒くなるらしいので、今から覚悟しておかなくては。


ホテルライク

今日の午前中は県内でもトップ5ぐらいに入るぐらいの大きな病院へ行った。
最近立て替えられたという事もあり、見知らぬ世界に踏み込むようなワクワク感を胸に正面玄関をくぐった。

予想以上だった。

入ってすぐの受付機が並ぶロビーは、シックで落ち着いた配色の内装となっており完全にホテルライクな空間だ。吹き抜けが更に開放感を与え、2階に見えるコーヒーショップはここが病院であることを忘れさせる。

長男はここで約1ヶ月後、人生初めてとなる手術を受けることになる。


母の感は違和感をとらえる

異変は1ヶ月後ほど前。
呼び掛けへの反応が鈍い、テレビの音をやたら大きくするなどといった日常で感じる僅かな違和感が始まりだった。

おや?この子もしや聞こえにくいのか?と感じた私はかかりつけの耳鼻咽喉科へ。案の定いつもの中耳炎だった。息子は小さい時から中耳炎になりやすく、風邪を引いたら もれなく中耳炎の治療もついてくる、何とも厄介なおまけと共に成長してきた。
小学校に上がってからは落ち着いていたのだが、今回久々に中耳炎の診断が下りた。
すぐに治るだろう…それから2週間。全く良くなっていない。
おかしいと思い、いろいろと検査をしたところ、アデノイド肥大であることが判明。
要は鼻の奥にあるアデノイドという器官が腫れ上がり鼻の通り道を塞いでいるのだ。通常鼻から出ないといけない鼻水が、鼻が塞がれていることで耳へ流れてしまうという悪循環。

そりゃもう中耳炎なんて治るわけない。

で、かかりつけ医からの紹介で本日このホテルライクな病院へ検査をしに来たということだ。



音のない部屋

検査に呼ばれた息子と共に、重厚な2重扉の着いた部屋に入る。

どうやら聴力検査をするらしい。

馴染みのある赤と青のヘッドホンを装着し、カチカチとボタンを押す息子。響くのは検査を担当している先生が機械を触る音だけだ。

外部からの音を一切遮断して行っているのだと思うと、こちらも一切音を出してはならないような気がして何だか緊張する。私は身動き1つしないように、しゃんと背筋をのばして動きをフリーズさせた。

検査終盤は赤と青のヘッドホンに加え、別のヘッドホンを後頭部から額にかけて装着される息子。

その絵がウルトラマンのようで、ちょっと笑えたのはここだけの秘密にしてほしい。


決断の時

先生の診察ではまず、先程の耳の検査の結果を聞かされた。やはり平均より聞こえていなかった。母の感は見事に的中だ。
耳の状態、鼻の奥を診た結果、やはりアデノイド肥大であることを告げられる。

実を言うと小さい時にも何度かこの病名がチラつくことはあったが、小さい身体での手術は母であるわたしが耐えられそうになかった。あと。徐々に良くなるという期待も上乗せされ検査や手術を先延ばしにしていた。

今回はっきりと原因が分かったこと、本人もこのしんどさから解放されたいという希望があったことから、私たち家族へ手術の意向を伝えた。

そして、約1ヶ月後に手術を行うことに決定。


あと1ヶ月と少し。まだ時間がある。
いろいろな事を視野に入れ、考え、できるだけいい状態で手術の日を迎える準備をしたい。



今日は、息子の大事な一歩目だったので記録としてこのお話を記事にした。

こうやって言葉にして吐き出すことで、もしかしたら私も救われているのかもしれない。何でも書いていいんだと思えるこの場所が、私の心を羽のように軽くしてくれるのだ。

それでは今日はこの辺で。サラダバー!


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