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牛乳はどんなヤツ?

牛乳は体に悪いと言う説があるようです。

たまに中国人の患者さんに会うと、「子供に牛乳を飲ませたら体が冷えるから、給食で飲ませないようにさせています。」と話を聞きます。

牛乳を飲むとお腹を壊す自分が、牛乳のデメリット部分だけ掻い摘み、何となく書いてみようと思います。

自分のスタンス

・牛乳を良くも悪くも言うつもりはないです。
・過ぎたるは及ばざるがごとしと考えています。
なので、ディスるつもりもございませんこと、ご了承ください。

論拠は不明ですが、よく言われる牛乳は体に悪いと言う説の内容は以下の通りです。

1. ラクトース不耐症
・消化酵素ラクターゼの不活性が原因として、消化不良、下痢、腹痛などがおこる状態です。私はコレ。
・改善方法として、牛乳を加熱し、ラクターゼが活性しやすい温度にすることで、不耐症を起こしにくくなると言われています。
   
ついでに、体内の深部温度は、体表体温の+0.5〜1℃で、37℃ほど。
酵素の活性化の最適温度は35〜40℃です。
また、42℃以上でタンパク質は、温泉卵のように変性をしていきます。

2. 血中の悪玉コレステロールの増加
・ 飽和脂肪酸の摂取により、悪玉コレステロールが増加して、循環器疾患の原因になったり、発ガン率が上がるそうです。

3. カゼインというタンパク質を原因としたアレルギー反応
・腸の炎症を起こしたり、アレルギー反応、ひどい場合はアナフィラキシーショックを受けるのが問題とされています。

個人的な観点では、加熱してタンパク質変性をさせたらアレルギー反応は起きるのだろうかぁ?なんて考えています。

中国や日本の伝統医学では

実は中国伝統医学や東洋医学の世界でも、摂取はお勧めしていない派が多いです。
その理由は、「体を冷やすから」
そのせいでは、子宮筋腫を起こすとか何とか、親の仇のように牛乳害悪説は言われております。

個人的には、中国医学的の牛乳は「ちょっとだけ冷やす」と考えています。

「牛は陰陽の真ん中の存在で、寒熱ほどよく併せ持ち、乳は陰の血から生成するため。」

中国医学でバイブル的な本「黄帝内経」では、牛について「牛は陰陽・寒熱を合わせ持つ、五行の「土」の生物」だと語られています。

中国医学は、陰と陽の2元論を大きな主題としています。気は陽で熱に、血は陰で寒に属します。牛乳は、血の生成物と考えられています。

また、生薬では四気(正確には5つ)があり、熱、微温、平性、微寒、寒があるとされています。そうなると微寒と考えられます。

牛乳の初見であると考えられる書物である『名医別録』(1c〜3c)では、微寒と記載されていたため、これらを論拠ととらえています。

微寒、補虛羸、止渴、下氣。

名医別録

・体が弱く痩せ細っているのを補う。
・喉の渇きを抑える。
・気を下に下す。

気を下すに関しては、2つの可能性があります。
1、気持ちの安定。甘味などで気が緩み、胃の降りる機能が働くことで気持ちも消化も落ち着く要素。
2、ワザと腹を下させることで、上に昇った熱気を下すと言うことも考えられます。

いつから冷えると言われるようになったかと、書物を読んでみますと、10cの『日華子本草』の頃には、「養心肺、熱解毒、潤皮膚」とあり、毒は火毒と言う強いタイプの熱であり、その火毒を取り除くとあります。この時期頃に、「寒」、つまりは体を冷やすものになったようです。

著名な本草書物『本草綱目』の主要な治療効果より、窺い知ることが出来ます。

中国医学的には、生姜・ヒハツとか温める物と一緒に煮立たせて服用するケースが多いようです。

総じて、現代的なデメリットと中国医学的なデメリットも、加熱したり、チャイのように温める香辛料を加えることで、飲むことが出来そうです。

もちろん体質・体調的に合わない人もいる。

・胃腸虚弱な人、冷え症気味の人
・冷たい飲食は好んでよく摂るけど、便通が緩い場合

牛乳の微寒と、体に含まれる温める機能低下などによる冷えという体質・体調要素が、合う合わないの決め手になります。

いずれのせよ、冷える体質の場合、直接の飲用は避けた方が吉でしょう。
今回はここまで。

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