悲しみは地下鉄で/モーモールルギャバン
大学生の頃の話です。
入学後に入った部活で好きな男性が出来、半年後の秋には振られてしまいましたが、一緒に部活をやっていく仲間として、切ない気持ちは抱えつつ過ごしていました。
2年生になり、彼は部内の同期の女の子と付き合い始めました。その頃には、私の恋心は少し落ち着いていましたが、夏に入った頃、部活の2日に渡る催しの1日目終了後、彼はこっぴどく振られてしまいました。
部内の恋愛沙汰はまたたく間に広まり、催しが終わる頃には部員全員が経緯を知っていました。彼は打ち上げで号泣し、散々先輩に慰められたあと、私に「部活を辞める」と連絡してきました。
私は部活を自分達の代が運営していく上で、技術面でも人柄でも彼は必要な存在だと感じていました。連絡が来た際、私は他の同期の男女と徹夜でカラオケをしていたのですが、一緒にいた同期に彼が部活を辞めようとしていると伝え、同期みんなで彼を引き留めました。
その後、彼はなぜか私に恋愛関係の相談や愚痴を言ってくるようになりました。私が彼を否定しないことに、彼は気付いていたのかもしれません。
彼はその後も、彼女を引きずり続けました。彼の苦しい胸のうちや、自暴自棄な行動は、「悲しみは地下鉄で」の歌詞のようでした。
彼と私、彼を振った女の子と部活の同期、それぞれの関係はどんどんこじれましたが、私はまだ彼からの連絡が来ると、脳内に「悲しみは地下鉄で」が流れるのです。